調教師。騎手。馬券を買う人。
馬主、実況アナウンサー。
そして、スターター。
様々な人の思惑、
推理、強い念が交差する時間。
当コラムは、
発走時刻1分前にまつわるコラムです。
第13回石川 彩夏 さま
“競馬と出会って人生が変わった”
このセリフを皆さんも耳にした事がありませんか?
私は休日になると、競馬ファンの1人として一眼レフカメラ片手に競馬場へ通い、時には東京から全国各地の競馬場へ日帰りで向かうことも……時には突然航空券を購入し、1週間後にアメリカ・ニューヨークにあるベルモンドパーク競馬場に居たこともあるくらい、競馬に夢中になっているのです。
しかし、競馬と出会う前の私は、休みの日は一歩も自宅から出たくない『超インドア派』人間。まさしく“競馬と出会って人生が変わった”一人でした。
私が、競馬に魅了された理由の一つに「発走時刻1分前」からの出来事があります。
中山競馬場に着いたら、まず、推し馬の応援馬券を購入。別に早く買う必要はないのに、推し馬の名前と“がんばれ”と書かれた馬券をいち早く買いに行ってしまうのです。
パドックから各馬がコースへ向かう後ろ姿までしっかりと目に焼き付け、私もコースへ向かい
いざ、発走時刻1分前
ゲートに各馬が集まり、場内は一瞬の静寂。スタートの瞬間、各馬がゲートから飛び出すと場内は全人馬の夢と希望と共に再び声援で包まれます。
この瞬間が私を魅了し、離さないのです。
もちろんレース中は、馬券を握りしめ応援に力が入ります。ゴール後、私の手元にある紙馬券はなんということでしょう。レースに夢中となり、応援に力がこもり、購入した“がんばれ馬券”にシワが入ってしまうのです。グランプリロードに帰ってくる各馬と騎手の方々、厩務員さん調教師さんのやり取りは、嬉しい感情も悔しい感情も、どちらも競走馬への愛を感じ、心が温まります。
そして次のレースに向かうためにグランプリロードからパドックへ向かう道中で出会う中山競馬場の河津桜を背に、シワが入ったこの馬券を財布にしまう。
そう……当たっても外れてもこの競走馬の名前と“がんばれ”と記入された馬券だけは払い戻し機に入れることはできないのです。
中山競馬場では熱いレースが繰り広げられています。是非ともスタートする瞬間やゴール後のグランプリロードで、夢と希望と愛を感じてみてはいかがでしょうか?
今貴方の手に持っている、当たり馬券もはずれ馬券も関係なく素敵な瞬間が見れますよ。
※この記事は 2023年3月10日 に公開されました。