発走時刻1分前。
調教師。騎手。馬券を買う人。
馬主、実況アナウンサー。
そして、スターター。
様々な人の思惑、
推理、強い念が交差する時間。
当コラムは、
発走時刻1分前にまつわるコラムです。

第9回田中たなか道子みちこさま

女優

発走時刻1分前。1番慌ただしい時間ですね。その時間、私のルーティンは、前レースが終わって休む間もなく次走のパドックを見る。パドックを見た後に買い目を考えて、いつもギリギリの1分前に購入。もちろん間に合わない時もあって…。買えなくて良かったー!と安堵する日もあれば、10秒あれば買えたのに!と悶える日もあります。みなさんも一度は経験ありますよね?

ただ、パドックを見る時間を減らすことはできないのです。私にとってパドックは予想の最後の砦。たとえ単勝1倍台でも気配が良くないとかよくあります。逆に穴馬だけど、かなり仕上がってる!という時もあり、マイパドック診断で穴馬を当てたことが何度かあります。過去1番の診断は、18頭立て18番人気を当てたことです。このとき確信しました。パドックはほんとに侮れない!ちなみにこの話はお酒の席でよく語られる私の自慢エピソードです。

買い目はもちろん3連単。馬人(うまんちゅ)は夢(ロマン)を追ってナンボでしょう。私のポリシーです。最後に帯を取ってから久しいですが、あの、帯をとった時の高揚感をいつまでも忘れられないのです。
購入を終えたあとは、もちろん帯が当たると思い込んでますから、使い道を妄想してる間に発走。当たったらもちろん嬉しいけど、外してもあまり落ち込みません。かわいい馬達のエサ代を支払ったものと思い込むようにしています。そして、落ち込む暇もないほど次のレースのパドックへ…

ただ、一つだけ寂しいことがあります。パドックで予想がころころ変わる私にとって、この馬だけは絶対買うんだ!という心酔するような馬がまだいないのです。そんな馬がいてはじめて、真の馬人になれるような気がします。
過去の馬だとディープインパクトやサイレンススズカを生で観たかったなと思うと同時に、彼らを超えるようなサラブレッドの登場を、いまかいまかと待ち望んでいます。まだ見ぬ私の推し馬が誕生するよう、今後も日本競馬界を応援していきたいと思っています。

※この記事は 2022年12月16日 に公開されました。


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