発走時刻1分前。
調教師。騎手。馬券を買う人。
馬主、実況アナウンサー。
そして、スターター。
様々な人の思惑、
推理、強い念が交差する時間。
当コラムは、
発走時刻1分前にまつわるコラムです。

第18回山田やまだ桃子ももこさま

フリーアナウンサー

幼少期から音楽に親しんできた私は、自然と音に敏感になりました。周囲の音に耳を傾け、ちょっとした変化を感じ取ることが、私の日常の一部となっています。

競馬を始めた頃から、ファンファーレや本馬場入場曲に注目していますが、特にJRA新馬戦の本馬場入場曲がお気に入り。競馬場に鳴り響く音楽は、ただ耳に響くだけでなく、レースへの期待感や緊張感をかき立ててくれるのです。

そして、それらの音だけでなく、発売締め切り時刻を知らせる音にさえ、無意識のうちに耳を傾け、待ち構えているような感覚になるのです。

私は普段、南関東地方競馬チャンネルで、キャスターとして番組を進行しています。モニター越しに競馬場内の様子を見ながら、イヤホン越しに耳に流れ込むファンファーレや本馬場入場曲を聞き、心の中に熱い興奮を秘めながらも、仕事に集中しています。

生放送の中で、発走時刻1分前のアナウンスは、まとめへ向かうシグナルです。仕事モードの私は、かすかに聞こえるその音で、自然と身を引き締め、「あ、そろそろだな」という感覚になります。

一方、プライベートで競馬場を訪れるときの私は、左手にはマークシート、右手にはペンを持ち、気楽に楽しんでいます。リラックスした気持ちでパドックを眺めながら、のんびり過ごす時間が幸せ。注目している馬の様子を確認してからの検討時間は短い方なんですよね。特に気になる事がなければ、すぐに馬券購入へ向かいます。

慌てて、迷って、時間に追われて、買った馬券が当たったことなんて、ほとんど記憶にありません(笑)。

そのうえ、直前の判断で気になる馬を外したら、まさかの馬券内なんてことも...。そんな経験を何度も繰り返して私は、直感を大切にするようになりました。競馬新聞の印に惑わされず、周りの人よりも少し早く移動して、発売機に列ができる前に馬券を購入するようにしています。

発売締め切りのアナウンスが流れるとき、私は落ち着いた状態でワクワクとした感情を満喫しています。

締め切りまで、時間が迫る状況で、慌てて購入機に向かうお客様を見ていると、「みんな急いで〜がんばれ〜間に合え〜」と心の中で思っています(笑)。

発走前はレースを1番良い場所で見たいので、早めにポジション取り!

そして、自分の購入した馬券をチラチラと確認しつつ、最新オッズを見ながら、「買い間違いはないよな...」「買い忘れはないよな...」と自問自答します。

まぁ、ここで間違いを見つけたところで、私はもう発売機には戻りません。これはこれで、運命。もしこれが当たったら高配当!と逆に期待も膨らませます。

皆さんも一度はそんな経験ありますよね?

それでも、どうしても買い足したいと思ったら、密かにスマホから買います。一緒に競馬観戦している友人には内緒で、密かに買い足すのです。

ゴールした後に、「実は買ってました〜!」というサプライズを期待して(笑)。

レース発走前の輪乗りの状態、ゲート入りを見ている間、どんどんワクワクが増していきます。私の注目した馬がどうにか落ち着いてレースを迎えてくれと願いつつ、ファンファーレを待ちます。

鳴り響くファンファーレに気分は最高潮!

コンサートのようなフェスのような、場内のお客様との一体感まで感じられますよね。

ここまで、音に注目している方は少ないかもしれませんが、ぜひ、耳を澄ませて、競馬場で感じるメロディーに心弾ませてほしいです。

そのためには、覚悟をきめて、自分を信じて、早めの馬券購入を(笑)。

※この記事は 2023年6月23日 に公開されました。


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