発走時刻1分前。
調教師。騎手。馬券を買う人。
馬主、実況アナウンサー。
そして、スターター。
様々な人の思惑、
推理、強い念が交差する時間。
当コラムは、
発走時刻1分前にまつわるコラムです。

第3回石原いしはらまもるさま

日本中央競馬会公正審査委員、日本中央競馬会元副理事長

私の馬券戦術

 私は、社会人になってから長い間、馬券を買ってきましたが、これまで勝ったことがほとんどありませんでした。むしろ負け続けで、昔、枠連6点買い(ゾロ目を除いた4つの枠のボックス買い)で30連敗をし、日本短波賞(現在のラジオNIKKEI賞)で連敗を脱出した苦い経験もあります。

 そのような私ですが、ある方法で、近年は、そこそこの成績を収めています。以前は競馬場へ行って、勝って帰ることなど全くと言っていいほどなかった私ですが、この方法により、たまには勝って帰ることもあるようになりました。別の言い方をすれば、昔は運に恵まれても勝って帰れなかったのが、今は、運が良ければ勝って帰れるようになりました。

 その方法を私は、「5-5-7方式」と呼んでいます。即ち、三連複の馬券をフォーメーションで機械的に、1頭目を1番人気から5番人気まで、2頭目を1番人気から5番人気まで、そして3頭目を1番人気から7番人気まで組み合わせて買う方法です。合計で30通りになります。

 少し説明を加えますと、

1)この方式は、いろんな情報をもとにあれこれ考えて、数少ない馬券を買っても(「一本釣り方式」)当てるのは難しいことから、まず、幅広く馬券を買う(「投網方式」)ことを基本にしています。

2)馬券の買い方として、調教タイムを見る、血統を見る、体型を見る等いろんなやり方がありますが、一般の人はこれがなかなかできません。そこでいろんなやり方の総合的検討結果がオッズに反映されていると見て、すべてオッズで判断するのです。

3)賭け式は当たった時の快感や自分の資金的余裕を考えて、三連複とし、購入額を少しでも減らせるよう、7頭ボックス(35通り)ではなく、5-5-7としています。

4)三連複の場合、特に2着、3着にどの馬が入るかがポイントとなりますので、どちらかと言うと、人気は単勝のオッズではなく、複勝のオッズで見る方が適当です。

 この「5-5-7方式」が私の基本的な馬券の買い方ですが、最近は若干の修正を加えています。主な修正点は、次のとおりです。

1)「5-5-7方式」だと配当が30倍未満だと当たっても損をする(トリガミ)ことになりますので、配当の低いものは複数枚買ったりしています。

2)「5-5-7方式」の最大の欠点は、6番人気の馬と7番人気の馬が入った時に現われます。このため、6,7番人気の馬が特に気になる時は、単純に7頭ボックスを買っています。

3)8番人気以下の馬も気になる(その馬の単勝オッズが30倍未満かどうかを一つの目安として判断)時は、買う枚数が増えるのを避けるため、1頭固定(単勝オッズが2倍以下かどうかを一つの目安として判断)や2頭固定、3頭固定を取り入れたりしています。例えば、1-5-8(18通り)、2-5-8(30通り)などで、今年の宝塚記念は、結局3-6-8の43通りにもなりました。

 この修正「5-5-7方式」でやった今年のこれまでの成績は、G1レースでの成績が良かったこともあり、総購入額89,500円、総払戻額88、160円、収支マイナス1,340円で、回収率98.5%です。

 上記は、私が、JRA退職後関係会社に勤務していた時に社内報に書いた記事にその後の修正点と今年の成績を書き加えたものです。社内報には以前に「天皇と競馬」についても書いていましたが、反響は全くありませんでした。この記事については、競馬サークル内の多くの方から「読んだよ」という声を聞きました。しかし、私の買い方が分かっているため「また、はずしたね。」とは聞いたことがありますが、「おかげで私も儲けたよ」という声は聞いたことがありません。「おかげで私も儲けたよ」という声が協会の会員の皆様から一人でも多く出ることを期待して筆を擱きます。

※この記事は 2022年8月12日 に公開されました。


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