発走時刻1分前。
調教師。騎手。馬券を買う人。
馬主、実況アナウンサー。
そして、スターター。
様々な人の思惑、
推理、強い念が交差する時間。
当コラムは、
発走時刻1分前にまつわるコラムです。

第31回角居すみい勝彦かつひこさま

元調教師

 調教師をなりわいとしていた頃、当然馬券を買うわけもなく、自厩舎の馬が出走していない競馬はレースを見る事も少なかった私です。

 今は、ほぼ競馬を見る機会も欠ってしまっている。何も地震が起きたから見なくなったわけではなく、このコラムのお話が来た時、馬券も買わないし、競馬から離れてしまっているのでと、お断わりしたのですが、、、。

 調教師の発走一分前に何を考えていたかなぁと思い返してみますと、私の場合は、負けた時のいい訳を考え始めていましたね。

 勝てば、馬主さんにいい馬を預けて頂いてありがとうございます、ですし、負けた理由を騎手や担当厩務員の責任にするのも調教師っぽくないなぁと思っていたので、雨が降っていると、これ使えるわーとか、展開がむいていなかったとか、他の馬にじゃまされたとか騎手がレース後、使えるコメント話さないかなぁとか探しておりました。中山馬主協会さんのコラムなのでルーラーシップの事も、有馬記念でのスタート、立ち上がる癖が常習化してきていたので、もし立ち上がったら報道関係者に難かしい顔してコメントなしにしようかとか、だいたい負けた時のいい訳を考えていたような気がします。

 そんな苦しい発走時刻一分前を考えなくてよくなりました。ただ今は引退一分後を考えなければならない時を過ごしております。

※この記事は 2024年3月22日 に公開されました。


×