きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

世界一難解な馬券

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海外馬券発売第2弾は、日本からカレンミロティックが参戦するオーストラリアの国民的祭典メルボルンCです。メルボルン郊外にあるフレミントン競馬場3200mで行われ、優勝賞金が3億円近くと長距離レースとしては飛び抜けた世界最高で、各国からスタミナ自慢の強豪が集まることでも有名です。高額で知られる日本の天皇賞春のそれが1億5000万円ですから、その破格ぶりが分かります。ステイヤーにとっては最高の賞金と至上の名誉をかけた究極の聖戦となります。しかし反面、ご存じのようにG1としては極めてイレギュラーなハンデ戦で争われ、フルゲート24頭の頭数もほぼ例年揃うので、馬券的にも大変に難儀な個性を秘めています。世界一推理が難解なG1でしょうね。その分、スリリングで高配当の妙味に富んで、ファンの人気は加熱するのですが。凱旋門賞でのオブライエン厩舎ワントゥースリー馬券がそれなりの配当で収まって日本ファンの馬券上手が証明された形ですが、難解度最高峰のメルボルンCで、果たしてファンはどんなジャッジを下すのか?これも見どころかもしれません。

日本馬は06年にデルタブルース、ポップロックの角居勝彦厩舎コンビがワントゥーを決めて世界をビックリさせましたが、一昨年のアドマイヤラクティは58.5キロのトップハンデを背負って不幸にも死のゴールを迎えてしまった悲しい思い出が忘れられません。カレンミロティックは8歳馬ですが、まだ老こむ気配もなく元気いっぱいです。3000m以上のレースでは堅実を絵に描いたような走りを見せ、今春の天皇賞ではキタサンブラックと武豊騎手の奇跡的な差し返しにハナだけ涙を飲みましたが、勝利も同然の見事な激走でした。今回のハンデは55.5キロ。ミロティックには苦にもならないはずです。同じハーツクライ産駒ラクティの弔合戦になると嬉しいのですが。

人気は地元馬のハートネルが筆頭で4倍程度。先週末のG1コックスプレートで2着だった馬で、ここは日本風に言えば連闘ですが、向こうの馬にはこうしたローテーションは当たり前で、中3日と強行軍でビッグレースに挑む猛者も少なくありません。ハートネルの前走は女傑ウィンクスに8馬身も千切られていますが、ここが本番と考えれば巻き返しが十分に見込めそうです。一昨年はアドマイヤラクティも勝っているトライアルのG1コーフィールドC2400mを勝って勢いに乗る地元のジャメカはハンデ頭だったラクティとは違って、軽量に恵まれそうで不気味です。ここまでが10倍以下で、世界のG1戦線を席巻するエイダイ・オブライエン厩舎の刺客ボンディビーチが10倍で単穴的存在。カレンミロティックは25倍で伏兵群扱いです。春の天皇賞だけ走れば勝ち負けだと思うのですが、そのあたりの推理検討は明日続けたいと思います。

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