きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

お楽しみ馬券

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メルボルンCが行われるオーストラリアでは、愛馬の好調時には日本では考えられないローテーションで走らせるのが普通です。5、6年前にオーストラリアとヨーロッパを股にかけて大活躍した南十字星下の国民的英雄ソーユーシンクは、本番10日前のコックスプレート、連闘でマッキノンSとG1を連勝して、中2日でメルボルンCに挑戦しています。これらの前哨戦を勝てば、当然ハンデは増量され本番は楽ではありません。ソーユーシンクは明け4歳としては相当に重い56キロを背負わされ、不良馬場もあって3着に敗れています。この後、ヨーロッパに移籍して本場のG1を5勝もした強豪でしたが、それほどの馬でも簡単には勝てないのがメルボルンCという世界にも稀なハンデG1の難しさです。

ハンデ戦、フルゲート24頭の多頭数に加えて、前哨戦をめぐる駆け引きも複雑です。飛び抜けて高額の賞金と国民的英雄の最高名誉を手にするためには、うっかり前哨戦を勝ってしまいハンデ増という事態は避けたいものでしょう。実際、前哨戦を負けた馬が本番でリヴェンジするというのがメルボルンCの傾向になっています。レース当日は国民の祝日となり、お祭り気分で盛り上がるお国柄です。勝ち負けではなく、純粋に競馬の推理やその醍醐味を楽しむ一日なのでしょう。

カレンミロティックを応援するのも良いし、馬柱に懐かしい名前を発見して想像を膨らませるのも悪くありません。ニュージーランド生まれのフーショットザバルマンは日本の浅見秀一厩舎で走っていたヤマニンバイタルの仔です。デビューが3歳夏と遅れたのですが、500万下を勝ったばかりの身で松永幹夫騎手とのコンビで鳴尾記念に挑戦して、三冠馬ナリタブライアンを倒したこともある実力馬スターマンの2着に健闘しました。結局、重賞は未勝利でしたが目黒記念4着もあり、秘める力はかなりのものでした。ニュージーランドからの輸入外国産馬で母の父がマルゼンスキーの叔父という良血を買われ母国に凱旋帰国、フーショットザバルマンは彼の4頭目のG1馬です。メルボルンCは3度目の参戦で昨年が11着、一昨年は3着と距離適性の高さを見せています。唯一勝利したG1は3200mのオークランドCでしたから、スタミナ自慢は間違いがありません。ハンデも手頃でしょうから、お楽しみ馬券の1頭に加えておきましょうか?

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