きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

人気と結果は別物かも?

8月12日は、田中克典 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

昨日発表されたIFHA(国際競馬統轄機関連盟)のワールドランキング最新版では、3戦3勝で英ダービーを圧倒したデザートクラウンが故障で戦線離脱して、代わって凱旋門賞ブックメーカーオッズで1番人気に抜擢された日本調教馬タイトルホルダーは、前半戦を締めくくる大一番キングジョージ6世&クイーンエリザベスSで世界をアッと言わせたパイルドライヴァーと並んで124ポンドの世界5位にランキングされました。その上の4頭は?というと、2〜4位にアメリカのダートホースが2頭、オーストラリアの名スプリンターで前走はロイヤルアスコットに遠征してG1キングススタンドSを圧勝したネイチャーストリップがピックアップされています。そして世界一の王座を守り続けているのが9戦9勝と無傷の連勝街道を爆走するバーイードの128ポンドです。14戦14勝の怪物フランケルを思い出させる超大物です。しかし評者によっては、フランケルがウサギを仕止めるにも手加減しない百獣の王ライオンの如く全力を振り絞るのに対して、バーイードは隠し持った多くのギアを巧みに使い分け勝負の先が見えたところで少しだけ勝てば良しの競馬に切り換える、そんな感想を漏らす人も少なくないようです。

日曜のドーヴィル競馬場では日本でも馬券発売されるG1ジャックルマロワ賞が開催されます。24年前に日本馬タイキシャトルが勝って、日本調教馬による世界進撃への扉を開いた忘れられないレースです。そのとき3着に踏ん張ったケープクロスは、後にシーザスターズを輩出してダービー馬にして凱旋門賞馬の父となっています。現代競馬の帝王ガリレオの半弟に生まれた良血シーザスターズは、種牡馬としても非常に優秀で数々の名馬を送り出していますが、とくにここ一番の大舞台でポテンシャルを全開させる能力に長けています。その代表格がバーイードであることは疑いがないようです。

そのバーイードは前走のG1サセックスSでも軽く仕掛けただけで突き抜けて苦労もなく連勝を伸ばしました。管理するウィリアム・ハガス調教師は愛馬の走りを「ツール・ド・フランスにオートバイで参加しているようなものだ」と自転車ロードレースの世界最高峰に例えています。オートバイであれば、難所アルプス越えの長い長い急坂を苦もなく走り抜けていくはずです。そのサセックスSでは日本調教馬バスラットレオンの食い下がりが光っていました。坂井瑠星騎手が思い切りの良い逃げに徹して、マイルG1を連勝しているゴドルフィンのモダンゲームズに早めに交わされ、直ぐバーイードにもノンストップで追い越され、普通ならバタッと来るところですが、粘りに粘り盛り返す仕草さえ見せてくれました。後方から強襲したG1・4勝馬アルコールフリーとの3着争いは写真判定に。結果は短アタマ差で惜しくも4着でしたが、世界最高クラスのレースで、世界最高の馬と一緒に走って、最低人気と評価は低かったものの見せ場たっぷりの4着なら大威張りでしょう。その前のドバイ遠征のG2ゴドルフィンマイルを逃げ切ったときも16頭立ての15番人気でしたから、海外の空気が大好きなのか、よほど急速に力をつけているのか、多分その両方でしょう。日曜のドーヴィルはサセックスSほどではなくても、相手が強いのに変わりはありません。ブックメーカーオッズは9頭立ての8人気と相変わらず低評価ですが、ドバイのサプライズを再現してくれないでしょうか。

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