きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

海外挑戦へのステップ

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今週の宝塚記念は、ある意味では海外のホースマンから、もっとも注目される日本のG1レースかもしれません。昨年リスグラシューがここを勝って、オーストラリアの伝統のG1コックスプレート、そして引退レースの有馬記念を圧勝して年度代表馬に輝いたのは記憶に新しいところですが、海外G1挑戦へのステップレースとして数々の実績を残して来ました。宝塚記念のそうした側面に最初に目をつけたのは、05年ゼンノロブロイの藤沢和雄調教師だったでしょうか?秋の海外G1を目標とすれば、ローテーション的に好都合なことと、梅雨時の湿りがちな馬場もヨーロッパの重厚なコースへの試走として打ってつけと考えられたようです。ロブロイはイギリスのG1インターナショナルSに挑み、強豪エレクトロキューショニストのクビ差2着に健闘します。

以後も宝塚記念の勝ち馬から続々と海外遠征、とくに凱旋門賞で好走する馬が続出し、ディープインパクトが3着、ナカヤマフェスタとオルフェーヴルが2着と世界最高峰まで、もう一歩に迫ります。こうした実績が認められて、早くからブリーダーズカップチャレンジ競走に指定されBCターフの、昨年からはコックスプレートの優先出走権が付与されるようになっています。ともに登録料、輸送費などの補助に加えて、前者は1着賞金220万ドル≒2億4000万円、後者は同300万豪ドル≒2億2000万円に加えて優勝ボーナス100万豪ドル≒7400万円(昨年は200万豪ドル)の豪華版です。両レースは開催日が近いため、どちらか一択になりますが、宝塚記念馬には高額賞金だけではなく、自らの価値を飛躍的に増大させる宝の山が、羨ましくなるほど様々に用意されています。

仮にコックスプレートを選択すれば、牡馬なら現地での種牡馬入りの可能性が大きく拓けて来ます。オーストラリアでは女帝ウィンクスの半妹はディープインパクト産駒であり、アイルランドからサクソンウォリアー、日本からリアルインパクトなどがシャトルされてディープ系が勢力を伸ばしています。今回、ダミアン・レーン騎手を鞍上に迎えたグローリーヴェイズなどは意欲満々なんでしょうね。ディープ同様にロードカナロアの評価も高いお国柄ですから、サートゥルナーリアにも注目が集まりそうです。牝馬ですが、管理する松永幹夫調教師が「完成の域に達した」と自信を隠さないラッキーライラックはオルフェーヴル産駒。父の二度にも渡る無念をパリロンシャンの舞台で晴らすドラマが見たいですね。いろんな夢を載せて、春のグランプリがスタートします。

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