きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

メイショウモリヤス

標題は今朝からネット界でトレンド入りした言葉です。つい先ほどまでは誰も知りませんでした。まったくの新造語です。「メイショウ」といえば、日本馬主協会連合会名誉会長を勤める競馬界の重鎮として活躍され、ダービー馬メイショウサムソンなど数々の名馬を輩出された大オーナーとして高名な松本好雄さんの冠名で広く知られます。中央、地方の垣根を越えて競馬場に「メイショウ」の勝負服が登場しない日はないほど膨大な頭数をお持ちなのはご存じの通りですが、「メイショウモリヤス」なる競走馬は、松本さんの愛馬の中に見当たりません。サッカーワールドカップのスペイン戦で、緒戦のドイツ戦に続いて歴史的勝利を成し遂げ、決勝トーナメント進出を自力でもぎ取った森保一監督が率いるチーム・ジャパンの快挙に感動したネット愛好者たちが、だれ呼ぶともなく言い出した言葉のようです。劇的勝利への感謝と敬意を込めての尊称“名将森安”が“メイショウモリヤス”へと転じて、それに賛同する方々の間で急速に広まったもののようです。

先週の競馬のジャパンカップは売り上げは微減だったようですが、久しぶりに大勢のファンが府中に詰めかけ、大観衆の歓声が白熱のレースをいっそう盛り上げて、素晴らしい1日になりました。やはりスポーツは、種目を問わず、国境や言語や肌の色などとも関係なく、純粋にその持てる力を競い合うところに醍醐味があるようです。ジャパンカップの熱気も冷めない週明けには、ダート競馬の“全日本的”な大改革構想とその実現プログラムが発表されました。中央も地方も、さらに世界の垣根まで取っ払って、あるべき競馬の姿に向かおうという真摯さが伝わる内容になっています。

構想によれば、各カテゴリーごとに各々の頂上戦を最高峰とする体系が一本化され、ステップレースを含むそれぞれのレース賞金も増額されます。たとえば3歳三冠シリーズ第1弾の羽田盃、第2弾の東京ダービーは中央馬に出走資格がなく、ダート適性を秘める馬は地方に転厩しなければなりませんでした。しかし再来年からは出走フリーになります。賞金も大幅に増額されて、東京ダービーの1着はカテゴリー頂上戦の王者にふさわしい1億円が贈られます。三冠達成のボーナスも準備されています。ダートホースの生産から購買や育成・調教まで、これまでとは風景が一変しそうな期待が膨らみます。課題は少なくないのですが、ダート競馬が世界と戦えるレベルへと引き上げられて行くと考えて良いでしょうね。ただ賞金増額は頂上戦への一極集中で終わらないで、最高峰を支える裾野まで広く遍(あまね)く実現してもらうのが“競馬大改革”の根底でしょうね。“競馬百年の計”に立って、慌てずじっくり取り組んでいただければと思います。

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