きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 宝塚記念

先週は春の総決算・グランプリ宝塚記念(GI)が行われました。ファン投票で選ばれた馬を中心とした精鋭18頭(うち1頭はレース前に競走除外)で春の締めくくりの大一番が競われました。覆面歌人の京雅さんからは、この宝塚記念の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

宝塚記念 京雅

どよめきは
うんと頑張る
独走に
馬は強いか
伸びて凱旋

隠れたメッセージは「どうどうの はるにかん → 堂々の 春二冠」です。
ど()よめきは(
う()んと頑張る(
独()走に(
馬()は強いか(
伸()びて凱旋(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
春のグランプリ宝塚記念は、終わってみれば天皇賞春を制したタイトルホルダーの強さが一層際立った、そんなレースでした。
スタートから押して先手を主張するタイトルホルダーに対して、得意パターンに持ち込ませまい、とこれまた逃げを得意とするパンサラッサがハナを奪取。パンサラッサが刻んだ1000mを57.6秒の超ハイペースにスタンドがどよめくも、タイトルホルダーはこのどよめきすらパワーに変えるかのごとく力を蓄えます。
ハイペースで脚があがったパンサラッサに変わり直線入り口で先頭に立ち、早めに抜け出す横綱競馬。他馬は2馬身以上後方の独走状態。なんとかヒシイグアスが迫ろうとしますが、その差はどこまで行っても詰まらないようにも感じ、長距離で圧倒的な強さを見せていたタイトルホルダーが中距離でも覇権を握り、堂々と日本馬現役最強馬に躍り出た瞬間でした。

天皇賞春、宝塚記念と古馬春二冠を制したタイトルホルダーはレース後に、秋は世界一決定戦とも位置付けられる凱旋門賞(GI)への参戦を表明しました。
他馬に逃げられた時にどうか?と宝塚記念戦前では不安をあげる声もありましたが、それを見事に跳ね除けての勝利。今年こそ、日本馬悲願の凱旋門賞優勝に手が届くのでは、そう思わせてくれる走りでした。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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