きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 紫苑ステークス

先週から秋競馬が開幕。中山競馬場に競馬開催が戻ってまいりました。まだまだコロナから元に戻ったとは言えない状況ですが、やはりお客様やオーナーの方々がいる競馬場は雰囲気も明るく感じられるものです。覆面歌人の京雅さんからはそんな秋競馬の開幕を飾った中山の紫苑ステークスの和歌が届きました。当協会所属の六井元一様のファインルージュが優勝したレース。是非、隠れたメッセージを読み解いてお楽しみください。(メッセージの答えは最後に)

紫苑ステークス 京雅

夢多し
名馬よく燃ゆ
逃げを追う
無理なく伸びたか
軽快ハナへ

隠れたメッセージは「ゆめにむけ しゆうかへ → 夢に向け 秋華へ」です。
夢()多し(
名()馬よく燃ゆ(
逃()げを追う(
無()理なく伸びたか(
軽()快ハナへ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
春の実績馬か、それとも夏の上がり馬か。秋の牝馬クラシック3冠目の秋華賞トライアル・紫苑ステークスをどちらのタイプの馬が勝つかで、秋華賞本番を占う意味合いも込められています。結果を見ると、1着ファインルージュ、2着スルーセブンシーズが春のクラシック出走馬。3着のミスフィガロは夏に古馬との対戦で勝利、と今年は春の実績馬に軍配。
優勝したファインルージュはこれで2つ目の重賞タイトル。名牝になる、母として立派な仔を送りだすなど、将来の夢は多いですが、まずは秋華賞で悲願のGIタイトルを獲得するのが最初の夢でしょう。
中団で脚を溜めて訪れた4コーナーで、早くも逃げる先行勢との差をグッと詰め、直線入り口で楽に並びかけます。抜群の手応えのまま無理なく先頭に立ち、福永祐一騎手が左鞭をポンと入れると、中山の急坂をさらに加速。軽快にハナに立ち、最後は手綱を緩める余裕を見せるほど。馬、そしてオーナーのGⅠ制覇という「夢に向け 秋華(賞)へ」隠れたメッセージの通り、ファインルージュが本番に駒を進めました。

それにしても、ファインルージュは六井元一オーナーがJRAの馬主資格を取得して最初の所有馬というから驚きです。相馬眼、人脈、出会い、運・・・様々な要素が生み成す奇跡ともいえるかもしれません。その奇跡の一ページに”秋華賞制覇”は加わるのでしょうか。ファインルージュの秋華賞での走りに注目です。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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