きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

シンコウエルメスの血

12月6日は、中尾 秀正 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

土曜、中山競馬場ではステイヤーズステークスが行われました。今年は15頭が出走。雨降る稍重馬場でのレースとなりました。勝ったのは7番人気オセアグレイトでした。道中3番手を追走。逃げるタガノディアマンテがそのまま逃げ切るのかと思われたゴール直前、アタマ差、差し切っての勝利でした。

オセアグレイトは父オルフェーヴル、母父Bahri、母ブルーダヌーブ、母の母はシンコウエルメスの血統になります。シンコウエルメスは1993年にアイルランドで産まれた馬で、ヨーロッパで一時代を築いた父サドラーズウェルズの血とともに日本へと持ち込まれました。藤沢和雄厩舎に所属となったシンコウエルメスは、3歳(旧4歳)4月にデビュー。単勝1番人気に支持されるも5着に敗れ、2戦目を目指す過程で重度の骨折。予後不良やむなしと伝えられます。「何とか助けられないか」、そう食い下がりそのシンコウエルメスの命をつないだのが藤沢和雄調教師でした。

シンコウエルメスは競走馬としての復帰は叶わなかったものの、繁殖牝馬として第2の余生をスタートします。そのシンコウエルメスから7頭の仔馬が産まれ、第2仔エルノヴァはエリザベス女王杯3着をはじめ、ステイヤーズステークス2着、オールカマー3着など重賞で活躍。初仔エルメスティアラは皐月賞馬ディーマジェスティ、5番目の仔で北海道洞爺湖から名付けられた Lake Toya はフランスG1馬 Sobetsu 、最後の産駒となったスノーパインはスプリンターズステークス馬タワーオブロンドンを産んでいます。タワーオブロンドンを管理するのは、シンコウエルメスを管理していた藤沢和雄厩舎です。

オセアグレイトは4歳牡馬で、今回の勝利が重賞初制覇となります。繋がれた命から、重賞馬が誕生しました。重賞をふたつ、みっつと積み重ね、シンコウエルメスの血とともに物語もぜひ語りつないでいってください。

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