きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 皐月賞

先週は桜舞い散る中山競馬場にて3歳クラシック初戦、皐月賞が行われました。レースは1.7倍の人気に応え、サートゥルナーリアが優勝しました。京雅さんはこの皐月賞をどう和歌にしたのでしょうか。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

皐月賞 京雅
力闘さ
よく坂競(せ)りつつ
馬叩き
決着無敵と
次狙うなり

隠れたメッセージは「りようけつ さつきとり → 良血 皐月取り」です。
力()闘さ(
よ()く坂競りつつ(
馬()叩き(
決()着無敵と(
次()狙うなり(


<京雅さんからのメッセージ>
昨年のホープフルステークスからの直行便でも、ファンはサートゥルナーリアを支持し、1.7倍の人気に。続いて2歳王者のアドマイヤマーズ、ダノンキングリー、ヴェロックスという人気順で発走を迎えました。
レースは最後の直線でまずヴェロックスが抜け出し、そこにサートゥルナーリアが併せる形に。また内に進路を見出したダノンキングリーも猛追。3頭が中山名物の急坂で競り合い、叩き合いの大熱戦。中山競馬場を訪れた5万人が固唾を飲んで見守った結末は、1着サートゥルナーリア、2着ヴェロックス、3着ダノンキングリー。着差はアタマ、ハナ。そしてタイム差無しと、まさに3頭の力闘でした。
勝ったサートゥルナーリアの父ロードカナロアは自身の成績のみならず、種牡馬入り後もアーモンドアイなどを輩出した名馬。そして母シーザリオは現役時代、角居厩舎に所属し日米オークスを制した名馬。現代競馬の最高傑作同士が掛け合わされて生まれた超良血馬がサートゥルナーリアと言えるでしょう。これで4戦4勝。アグネスタキオンやディープインパクトなどと並ぶ最少キャリアタイでの無敗の皐月賞馬となった。最後の直線でややヨレたものの休み明けで、この競馬内容ということでもはや無敵との声も。次に狙うは令和最初の日本ダービー制覇、そしてその先には、日本馬初となる凱旋門賞制覇も視野に入っていることでしょう。


鞍上のルメール騎手は5大競走(桜花賞・皐月賞・オークス・日本ダービー・菊花賞)完全制覇を達成。京雅さんが言う様に、日本ダービーを制した後には凱旋門賞も見えてくるでしょう。同じく日本馬初の凱旋門賞制覇が期待されていたアーモンドアイは昨日、シルクホースクラブより凱旋門賞登録の見送りが発表されました。サートゥルナーリアの凱旋門賞参戦が現実となった場合、アーモンドアイとサートゥルナーリア両馬の主戦のルメール騎手としては、凱旋門賞でお手馬を選ぶ悩みがなくなったとも受け取れますが、ファンとしてはフランスの地で日本馬が悲願の優勝目指して競り合う姿も見たかった気もします。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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