きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

サトノクラウンの価値

ようこそいらっしゃいませ。

モーリスの種牡馬価値が莫大なものになりそうだというお話をしましたが、その香港国際競走で初っ端のG1香港ヴァーズ2400mでは、日本馬サトノクラウンが大本命ハイランドリールを指し切り、世界を驚かせる大金星を挙げました。ハイランドリールは年度代表馬は3歳牝馬のマインディング、最優秀古馬は4歳牝馬のファウンドにレディーファースト宜しく譲りましたが、牡馬陣にあってはキングジョージ、BCターフのビッグG1を逃げ切り、凱旋門賞でも2着と獅子奮迅の活躍を見せた最強馬です。これだけの馬を倒したのですから、サトノクラウンの価値が跳ね上がるのも当然です。ある意味、モーリス以上かもしれません。

というのは父のマルジュは今年老衰で亡くなっており、種牡馬自体は5年前に引退していましたから、クラウン世代がラストクロップです。有能な種牡馬でしたが、なぜか活躍するのは桜花賞のマルセリーナ、スプリングSのグランデッツァ姉弟を出したマルバイユやクラウンの全姉ライトニングパールなどに代表されるように牝馬ばかり。牝馬以外ではG2時代の香港ヴァーズを勝ったインディジェナス、これも香港のクイーンエリザベス2世Cを2回制しているヴィヴァパタカなどが目立ちます。インディジェナスはジャパンCにも来日してスペシャルウィークの2着に突っ込み、英仏ダービー馬のハイライズ、モンジューを抑え込む健闘を見せています。日本適性も十分だったのですが、悲しいことに彼らはセン馬です。後継馬という意味では、世界広しといえどもクラウンくらいのものです。

マルジュ自身が日本では馴染みが薄いのですが、放っておいてもアイルランドあたりからオファーの声がかかりそうです。マルジュの父ラストタイクーンはヨーロッパと、とくにオセアニアで大成功した血統で、日本でもアローキャリーが桜花賞を勝ち、母父としてキングカメハメハを輩出しました。母系は異系トウルビヨンの血が流れています。サトノクラウンは母方からミスタープロスペクターの強い影響を受けており、自身のような中長距離タイプから配合によってはスプリンターまで出してくる可能性を秘めており、ちょっとユニークな存在感を示していきそうです。

×