きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

欧米のSS系需要

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昨日の競馬始め、名物レース中山金杯など成果はいかがでしたでしょうか。海の向こうでは松飾りも取れない1月2日(松飾りなんて風習はないんでしょうが)、アメリカ・サンタアニタ競馬場では2つのG2レースを目玉にニューイヤー競馬が行われました。芝9ハロンのG2サンガブリエルSを勝ったのはフランボヤントという単勝10番人気の伏兵でした。この馬、父がサンデーサイレンス直仔のペールギュントです。

ペールギュントは2歳時から重賞戦線で活躍しクラシックの有力候補に挙げられながら伸び悩み、5歳時の高松宮記念2着で復活を遂げた馬です。このあたりはフランスで種牡馬として英1000ギニー制覇などSS系旋風を巻き起こしたディヴァインライトに良く似ています。引退後はこの先輩の成功もあってフランスからのオファーに応え海を渡ります。種付け料3000ユーロ≒40万円と言いますから、さほど期待が大きかったわけではないようですが、とりあえずスピードに恵まれ決め手に秀でているSS系の血には、血統の選別と集中が進んだ結果、ノーザンダンサー系偏重など一種の袋小路に迷い込みかけていた欧州ホースマンからそれなりの需要があったのでしょう。ほぼ同時期にハットトリックが欧州2歳チャンピオンのダビルシムを出したり、ディープインパクト産駒のビューティーパラーが仏1000ギニーを楽勝したり、母父サンデーサイレスの日本産馬カラコンティが仏2000ギニー、BCマイルと大陸をまたぐ基幹レースを勝って、サンデーの血の欧米融合性が大きく注目されていた背景もあります。

フランボヤントはフランスで生まれ、アメリカにトレードされて苦労の末に花を咲かせました。ペールギュントの母は桜花賞2着の名花ツィンクルブライドですが、その父がリファールでサンデーサイレスとの組み合わせはディープインパクトやハーツクライ、新種牡馬スピルバーグなどと同じです。SS系の発展成功パターンなのですが、ライバルが強力すぎて日本ではどこまでやれたか?そんな血統ですが、世界に目を広げてみれば、まだまだ需要が存在すると言えそうです。生産者のノーザンファームさんや馬主のサンデーレーシングさんの英断に拍手を贈りたいと思います。住めば都と言いますが、求められる場所で暮らすのが馬にとっても幸せなのかもしれません?
明日はサンタアニタにもうひとつのG2サンタイネツSでゼンノロブロイの姪の孝行話の話題をお届けしたいと思います。

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