『海外はいいですね。なかでもシャンティやロンシャン、フランスの競馬場は最高です。競馬場もそうですけれど調教場がまた素晴らしいんですね。
それとイギリスではアスコットでしょうか。ここもスピードシンボリに連れて行ってもらったんですよ。キングジョージにチャレンジしたときでした。こういうところで勝ちたいなぁと思いましたね』
前回ご紹介したスピードシンボリのワシントンDC挑戦から1年、チームシンボリは再び海外をめざします。今度は現地にじっくり腰を据えてのチャレンジでした。
もう、それは旅ではありません。現地に溶け込んで暮らすのと同じような感覚だったようです。
『海外へ行っても観光なんかしたことがないんですよ。いつも競馬場と牧場、あとはカジノに行くだけ。和田はルーレットとブラックジャックがお気に入りでした』
広大なシャンティの調教場で毎日スピードシンボリと向き合い、ヨーロッパ仕様の走法をマスターさせるべくトレーニングを重ね、合間には寸暇をぬって牧場通いの毎日でした。
唯一の息抜きがガジノ、さすが勝負事には目がありません。
こうした経験がのちにシリウスシンボリとともに2年間にも及ぶ“長征”への布石となったのは間違いないでしょう。スピードシンボリの遠征から16年、1985年のことでした。
※この記事は2011年5月21日に公開されました。