前回のホースマンサロンにご登場いただいた和泉信一さんは
『千葉で種牡馬をやりたいんだが、どうだろう』
と共弘さんから相談を持ちかけられたと証言してくれました。
戦後、下総御料牧場の馬産は火が消えたようになっていました。その伝統ある馬産を復活させるのが夢だったのでしょうか。
『フランスに家を買ったんですよ。向こうに住んで暮らしてヨーロッパ三昧というか、それは熱心でした。人のやらないことをやり遂げるんだって』
そうした中で巡り会ったのがパーソロンだったことは、前回でご紹介したとおりです。共弘さんの思いがギュと詰まったパーソロンは2年目の産駒にメジロアサマを得ます。後の天皇賞馬です。
パーソロンの血は彼からティターン、マックイーンとメジロ一族に受け継がれ天皇賞3代制覇の偉業をなし遂げます。
この血脈を引き継ぐのは現役ではホクトスルタンだけです。先日、長い休養から帰厩したようですから、春の天皇賞をめざしてひと頑張りしてくれるのでしょうか。
わずかながら残された可能性に祈るような気持ちがします。4代制覇となればヨーロッパにもないんじゃないでしょうか。それこそ“人のやらないことをやり遂げる”大偉業です。
パーソロン産駒はアサマ以後も次々と大レースを勝ちまくります。
カネヒムロ、タケフブキ、ナスノチグサ、トウコウエルザ、4年連続でオークス馬を輩出したことから(これも大偉業です)“牝馬御用達”などと冗談まじりの陰口を叩かれたこともありますが、遂にサクラショウリがダービーを勝って汚名(?)挽回します。
しかし数々の勲章もまだ誰も達したことのない高みへのプロローグにしかすぎない、と共弘さんは考えていたようです。
※この記事は2011年2月3日に公開されました。