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【第11回】馬主歴60年の秘訣

ゲスト 中山馬主協会最高顧問・和泉信一さん 【第11回】馬主歴60年の秘訣

和泉信一さんは、約60年に渡り馬主を続けていらっしゃいます。 今回は、長く馬主を続けられる秘訣を伺いました。

――前にも言いましたけれど、和泉さんは60年間も馬主を続けていらっしゃいます。長くお続けになれる秘訣っていうのは、どこにあるんでしょうか?

『それはねぇ、今考えるんだけど、身の丈以上のものを持たなかったんだよね。だから良し悪しは別にして、だいたい平均してね、

まぁ昭和30年代にはね、一番多い時で40頭くらい持ったかな。だけど40年以降はね10頭以上持たない。平均だいたい10頭。まぁたまに12〜13頭になったりしますけど。

そうすると親父が社長で私がまだ専務だった頃ですよね、その時の自分の収入からあれしても、その頭数ならば借金しないで済むなぁって思うんですよ。それでずっと守ってきているからね。

だから今でもだいたい10頭前後ですよ。だからフェスタが勝ったからといって、増やすとかはしない』

――馬主運が良いとか悪いとかいう言い方がよくされるんですが、和泉さんの場合はいかがでしたか。

『歌手で小椋佳っているでしょ。あの人の親父さんっていうのはねすごいの、あの親父さんの才能を受けてね、小椋佳になったんだろうけど。

うちの会社へ来てね、社員の相を見るんだよ。そして「この男は1人で仕事させるな。能力があっても」とか、「2人で仕事させたら駄目だ」だとか言ってね。それが後で全部当たっているの。変な特殊な才能があったんだ。

それで最後にね、俺はどうなんだって聞いたらね、たいして出世はしないけど一生お金に困らないんだって。でもその通りだもんね、本当に。

もうこの歳になっちゃっているから、金には困らないよ。まぁ金に困らないっていうのは、金遣わなくなっちゃったから。今じゃもう、夜遅くまでいられないしね。早く家へ帰って来て、テレビとかね。銀座へ飲みに行ったって、女性はもう関係ないでしょう。そうしたら歌でも歌うじゃない。外で歌うのも面倒くさいから家にカラオケルーム造っちゃったの。だから歌いたくなったら家で歌うの。健全なものだよ。

まぁ、馬も同じですよ。

馬も自分の持てる範囲のものを自分の器量でやれと。僕が証券会社やってたからね、相場の浮き沈みで一夜成り金、一夜貧乏になっちゃうのをね、いやになるほど見ているんですよ』

――いろいろ見てきたという意味では、長年にわたって協会の役員を歴任なさってきて、そこでもいろいろあったと思うのですが。

『そりゃぁね、いろいろありましたね』

※この記事は、2010年11月25日に公開されました。


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