――ナカヤマフェスタはセレクトセールで購買された馬ですが、どんな経緯でお買いになったのでしょうか。
『そう、セレクトセールへ出かけていた二ノ宮調教師がメールで写真送ってきて、買いたいという。いいよって返事をした。信頼しているからね。たいがいのことはいいよって言うんだ。
1000万円だったかな。僕の持ち馬では安い部類だね。走ればうれしい。
何かの事情で走らなくても後悔はしない。そんな値段だね。
二ノ宮がそこまでいうなら、うんと言うしかない。それで娘の所有馬ということでデビューすることになったんです』
――お嬢さんが馬主になられて、たしか2頭目でしたね。
『そうそう、ナカヤマトップガンってマヤノトップガンの仔を二ノ宮厩舎に預けたのが最初。
素質はあったみたいで、2着とか3着とか惜しいレースをつづけていたんですよ。でも体質が弱くてねぇ。
一度使うとガタッときて、休み休みにしか使えなくてね。これは二ノ宮でもどうしようもない。結局、未勝利のまま引退させなければならなかった。それで2頭目がフェスタだったの』
――東京でデビューして新馬を勝って、2戰目のG3東京スポーツ杯2歳Sも鮮やかに連勝を決めました。
『そうでしたね。9番人気だったかな。それが勝っちゃった。この馬は今までフォア賞まで11回走って5勝もしてくれて、
2着も2回あるんだけれど、不思議と人気にならないんだね。1番人気になったのは、たしか1回しかない(3歳1月の京成杯2着時)。宝塚記念でも8番人気だったしね』
――スミレの花言葉には謙虚とか誠実という意味があるらしいです。ナカヤマフェスタという馬の生き方にすごく似合っているような気がするんですが。
『いま思うと本当にそうですね。そこら辺に咲いていて、派手さもないし、そんなに高く評価されるわけでもない。
フェスタは1000万円の安馬でしたからね。誰も注目なんかしませんよ。だから謙虚、だから誠実に生きるしかない。だけれども、自分の能力だけはきっちり誠実に走ってくる。そいう馬なんだね。
スミレの花はコンクリートの隙間を破って生えてくる。そういう生命力の強さというか、したたかさも秘めていますね。そういうのも全部ひっくるめてフェスタはスミレの花なんだなぁって思いますよ』
【あすはいよいよ凱旋門賞。スタート直前の和泉さんのお気持ちをうかがいます】
※この記事は、2010年10月2日に公開されました。