馬事叢論 活動報告、提言など

第10回 「“アメリカ競馬の聖地” チャーチルダウンズ(後編)」

アメリカで見たこと考えたこと 第10回 「“アメリカ競馬の聖地” チャーチルダウンズ(後編)」

“アメリカ競馬の聖地”チャーチルダウンズ競馬場は競馬開催の有無にかかわらず、ほとんど年中無休でダービーミュージアムや各種レストランを営業し人々の観光スポットとして愛されています。 競馬場がめざすべき姿がここにはあります。

さて、モンマスパークでも、ここチャーチルダウンズでも日本にはないレース形態を経験しました。クレーミングレースです。

このレースはあらかじめ値段を定めておき、この値段なら売っても良いと思う馬が出走してきます。未勝利戦の8500ドルから10万ドルクラスまであるそうです。

レースが終わればそのレースの賞金は前の馬主のものになりすが、名義は移転することになります。アメリカでは馬主交代が頻繁なのは、こういうシステムが確立しているからなのでしょう。

有名なケースでは映画にもなったシービスケット、ケンタッキーダービーを勝ち種牡馬として日本に輸入されたカリズマティックなどもクレーミングを走っていました。

愛馬を売りに出すというのですから、日本人にはちょっと奇異な印象もありますが、向こうではごく普通に受け取られているようです。

中には20000ドルのクレーミングで馬を買い、次に30000ドルのレースでその馬を売ることをビジネスにしている人もいるそうです。

この背景にあるのは馬主資格取得の簡単さです。国籍証明書さえあれば誰でも簡単に馬主になれます。

ことの良し悪しは別にして、馬主の裾野が広いという意味では断然ですね。

カリズマティックのようにダービー馬オーナーになれるチャンスが誰にでもあるわけですから、クレーミングレースの人気が高いのも分かります。

チャーチルダウンズでは当協会の冠レースが2鞍組まれ、西川会長から記念品を贈呈しました。

オーナーたちにはファミリーこぞって喜ばれ、馬主気質は洋の東西を問わず愛馬の勝利が嬉しいのなだなあ、そう実感しました。

※この記事は2010年11月30日に公開されました。


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