馬事叢論 活動報告、提言など

第9回「“アメリカ競馬の聖地” チャーチルダウンズ(前編)」

アメリカで見たこと考えたこと 第9回「“アメリカ競馬の聖地” チャーチルダウンズ(前編)」

先週までレポートをお届けしきたレーンズエンドファーム。 この名門牧場にあのゼニヤッタが繋養されることになりました。 アメリカ国民の“宝物”をあずかるわけですから、ファームのみなさんのご苦労も大変でしょうね。 ぜひ素晴らしい仔を送り出してほしいと思います。

モンマスパークで意欲的な競馬改革の現場に立ち会い、ケンタッキーの牧場を巡った旅もいよいよ後半にさしかかりました。

バスの窓越しにお城風の2本の尖塔が見えてきました。“アメリカ競馬の聖地”チャーチルダウンズ競馬場です。なんだか『ケンタッキーの我が家』を口ずさみたくなります。

チャーチルダウンズ競馬場は1875年の開場、同時にケンタッキーダービー、オークスも創設されています。チャーチルダウンズの歴史はダービーの歴史でもあるわけです。

“スポーツの中でもっとも偉大な2分間”とたたえられるケンタッキーダービーは観客全員がマーチングバンドに合わせて『ケンタッキーの我が家』を合唱しレースがはじまります。

そしてレースが終わると、大きな興奮と感動の中で観客全員がスタンディングオーベーションで勝者を迎えます。称賛と尊敬がスタンドを包みます。

それはスタンドのみならずアメリカ中に広がっていきます。この瞬間を味わいたいから馬主になる、そういう方々も少なくないのだと聞きました。

見学させていただいた施設の中に表彰台があり、この表彰台はケンタッキーダービーだけのためのもので年に1回しか使われないのだといいます。
レースの重みを実感させられます。

訪れた日は通常開催で大レースはなかったのですが、たくさんの人が詰めかけ思い思いに楽しんでいました。
競馬場の敷地内には『ダービーミュージアム』が併設され、こちらもレースそっちのけの大人気を博しています。

ケンタッキーダービーにまつわるさまざまな品々、360度のスクリーンに映し出されるハイビジョン映像、記念品など数々のグッズ販売もあり、競馬場という存在を超えた観光スポットになっているそうです。
休日は年に4日間だけ、感謝祭とクリスマス、ダービーとオークスの当日です。

ブリーダーズCがチャーチルダウンズで開催される場合もその日だけは特別休業になるようですが、競馬のあるなしにかかわらず営業を続けるというのは、アメリカの人々の生活に溶け込んでいるからでしょう。

ラスベガスがギャンブルだけの街ではないように、チャーチルダウンズも競馬だけの施設ではないようです。

※この記事は2010年11月23日に公開されました。


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