吉田直哉さんは、よく勘違いされるそうなのですが社台グループのファミリーではなく(縁戚だそうですが)テンポイントで有名な吉田牧場当主・重雄さんが父上です。
直哉さんは江別にある酪農学園大学で獣医資格を取得後、すぐにアイルランドに渡り牧場経営学を学びました。
次いでアメリカで世界最大の馬の診療所で臨床研修を行い、ゲインズボローファームなど一流牧場で生産牧場の繁殖管理、衛生管理などを学びます。
2002年に愛妻マリさんとともにウィンチェスターファームを設立、数々の実績を積み上げてきました。
生産馬からは、07年BCジュベナイルターフのナウナウナウ、08年のウッドメモリアルS、シガーマイルHを制したテイルオブエカティなどのG1ホースを輩出しています。
日本では「エーシン」の冠名で走る馬の多くを手がけています。
アイルランドで調教師をしている児玉敬さん、シンガポールで三冠馬を育てた高岡秀行さん、多くの日本人ホースマンが海外で活躍する時代です。
直哉さんは間違いなくそういうパイオニアの一人だと思います。
海外遠征は大変な難事業ですが、その地に住み着いて馬を育てるのはもっと大変です。
海外進出の新しいステージがそこにあると思いました。
さて、ウィンチェスターファームは馬産地レキシントンの中心、サンデーサイレンスが生まれた牧場はすぐ近くにあります。
出迎えていただいた奥様のマリさんはフランス生まれでヨーロッパに幅広い人脈を持ち、このことも牧場の発展に一役買っているようです。
セール上場に向けて馴致のための引き運動を見学しましたが、見知らぬ人間が大勢で押しかけているにもかかわらず、馬はまったく動じず、むしろ人懐っこい様子さえ見せてくれました。
大自然の中で馬と人とが信頼しあっているかでしょうか。
ここにもウィンチェスター繁栄の秘訣があると感じられました。
心和むような楽しいひとときを過ごし、直哉さん・マリさん夫妻とはここでお別れ、次の見学地であるレーズンエンドファームへと向かいます。
※この記事は2010年11月2日に公開されました。