馬事叢論 活動報告、提言など

第7回「憧れのレキシントン(中編)」

アメリカで見たこと考えたこと 第7回「憧れのレキシントン(中編)」

“サラブレッドの故郷”ケンタッキー巡りもいよいよ佳境。 今回はエリザベス女王も滞在されたという名門牧場レーンズエンドファームを訪ねます。

レーンズエンドファームのウィリアム・ファリシュオーナーは、イギリス大使を勤めた経歴の持ち主、エリザベス女王とも親交があり女王が来米された折りには、レーンズエンドファームに滞在されたことがあるそうです。

そんな関係からイギリスのホースマンとも親しく所有馬をヨーロッパで走らせることもたびたびです。

さて、そんな名門牧場で出会えたのが“アメリカの至宝”と尊敬を集めるA.P.インディでした。
ベルモントS、BCクラシックなど輝かしい戦歴を残し種牡馬入りしてからも次々と重賞勝ち馬を輩出、日本ではシンボリインディがNHKマイルCを制覇しています。

後継馬のマインシャフトも繋養されており、その初年度産駒からカジノドライヴを送り込んでくれました。

親子で繋養するスタイルはファリシュ氏のお好みなのかレーンズエンドファームには偉大なファミリーがいます。
ジャックルマロワ賞とBCマイルをそれぞれ連覇した名牝ミエスクはレーンズエンドファームで繁殖入り、ミスタープロスペクターとの間にキングマンボを産みます。

ファリシュ氏のというより世界の宝といっていい彼の偉大な功績は改めて述べるまでもないでしょう。

残念ながら彼はことし種牡馬を引退しましたが、後継馬レモンドロップキッドが健在で、訪れた日には父仔で元気な姿を見せてくれました。日本ではキングカメハメハがアパパネなどの活躍でリーディングサイアーのトップを走っています。

またこの牧場には日本のビリーヴも繋養されており、キングマンボとの間にファリダットを出してくれました。
ミエスクからキングマンボへと伝えられた偉大な血はこれからも世界中で歴史に名を刻みつづけることでしょう。

世界を席捲するA.P.インディにキングマンボ、溜息の出るようなラインナップですが、われわれの溜息はまだ止まりません。

※この記事は2010年11月9日に公開されました。


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