私にとっての競馬といえば、プロデビューして拠点を関西から関東に移したことがきっかけになりました。競馬に例えるなら栗東から美浦所属になったようなものです。関東のお兄さん棋士達がこぞって、勝った、負けた、と大騒ぎするまさに大人の楽しみというものでした。真剣勝負を生業とする棋士は、そのイメージ通り、競馬が好きな人が多いですし、かくいう私も、そんな仲間の棋士たちに勧められたのがきっかけでいつの間にか競馬の魅力にどっぷり浸かり、今に至ります。

騎手の方にも将棋好きが多く、栗東トレーニングセンターに将棋の講師としてお招きいただく機会がありました。競馬ファンの私としては、まさか憧れの騎手の方々にお会いできるかもしれず、なんて素晴らしいお仕事なんだと。競馬好きを公言していて、心底良かったと思った瞬間でした(笑)。写真はその時たまたまいらしていたミルコ・デムーロ騎手に、お願いして一緒に撮ってもらったものです。

過去に、将棋番組の生放送中にちょうど宝塚記念のレースが行われていたので、流れで個人的に買っていた馬券の結果を発表することになり、まさかの的中で大盛り上がりなんてこともありました。それを機に競馬関係のお仕事いただく機会が増えましたし、忘れられない思い出のひとつです。まさかその宝塚記念を制したデムーロ騎手とご一緒させていただけるとはびっくりしました。

将棋は1対1の勝負で、運が絡む余地はなく、勝敗を分けるものは、ただ自分と相手の実力のみです。そこが面白いところではあるのですが、例えば完膚なきまでに打ちのめされたりしたとき自らの至らなさに落胆したり、時には息が詰まったり、迷ったりします。そんな時に、レースを見るのが私なりの競馬の楽しみ方です。ひとつひとつのレースに、騎手やそれぞれの馬のバックグラウンド、その日のコンディションなど、様々な要素が詰まっていて、壮大なドラマだと思っています。馬券を買っても買わなくても、そんな背景に思いを馳せながらレースを見ると、すごく元気をもらえるんです。もちろん、いつの間にか手に汗握って本気で応援しているんですけどね。

第4回 室谷 由紀 さん (女流棋士)

1993年生まれ。大阪府出身。森信雄七段門下。6歳から将棋を始め、中学時代、女流アマ棋界で活躍後、2010年女流棋士になる。2015年度女流棋士賞・女流最多対局賞受賞。2016年度女流最多対局賞受賞。

次回は、、、。

藤森 哲也 さん (将棋棋士)です。

次回のリレーコラムは、
室谷 由紀 さん (女流棋士)からのご紹介で、
藤森 哲也 さん (将棋棋士)です。
お楽しみに。

※本コラムは「競馬との出会い」をテーマに、3週間に1回程度の間隔で更新を予定しております。

※この記事は 2022年8月26日 に公開されました。


×