第10回
重賞初制覇
トウシンマカオ 号
(株)サトー 佐藤新吾さん
2022年の京阪杯は、前走のオパールステークス1着から人気に応え、素晴らしい切れ脚で重賞初制覇を飾られました!その時を振り返っていただいていかがでしょうか?
あの時は14年目かな…。14年目の暮れですか。
それまで勝てなくて…でもマカオが走り始めたからチャンスがあるかなと思って期待してたんですよ。それで1着にパッと来たから…14年目で初めて!重賞を取るのが夢だったからね!夢が叶いました!
ゴール前は一頭だけ脚色が違って、本当に瞬発力と素晴らしい末脚を見せてくれましたね!
ありがとうございます。親の欲目で光って見えましたよ。
現地に行かれていたんですか?
はい、行っていました。
やはり一番人気のプレッシャーというのは感じられていましたか?
前走のオパールステークスの勝ち方が良かったので、プレッシャーを感じるより、期待の方が大きかったですね。
ゴール板を1着で過ぎた瞬間というのは、どんなお気持ちでしたか?
重賞優勝は私の夢でしたので、もうその瞬間は1着来たー!って。興奮してしまって、感動は後から湧いてきました。
念願の馬主さんになられた時はいかがでしたか?
私は新聞販売店を経営しておりますが、馬券を嗜んでいた25、6歳くらいの時から馬主になりたいと思っていたんです。人の馬を買うより、自分の馬を買いたいなって。馬主になりたいという信念を常に持ち、協力してくれる素晴らしい人達にも恵まれ、共に頑張って35年かかりやっと馬主になれました。その時は本当に嬉しかったね!
トウシンマカオさんとの出逢いについてもお聞かせください。
この出会いはね…服部牧場さんに行って、最初は牝馬を購入したんですよ。
いっぱい見せて貰った後にもう一頭出てきて、まだ生まれて15日なんですよ。
15日でどうかな?と思ったけど、すごく気になったんですよね。
気になったんだけど、まだ他の牧場もあるからということで帰って来てしまいました。
他の牧場に行ってからも、どうしても気になったので、「明日行こう!もう一回行きたい!」と思い、服部牧場さんにもう一度行ったんです。
それでお願いして購入しました。
本当に運命と言いますか…。
運命!奇跡!本当に。それも生まれて15日!ビビビと来たんだよね!巡り合わせだね...。
60歳で馬主になって、私も、もう76歳なんですよ!
そういう夢を追い続けて、色々な馬と出逢い、その中でトウシンマカオと出逢い、夢がまた広がるんですよ。ロマンですね!
これからも運命の出逢いに期待したいです。
重賞を勝たれた時は、周りの方やご家族の反応というのはいかがでしたか?
周りの人たちも、それはもう自分のことのように喜んでくれたよね!
それからも京阪杯を連覇してオーシャンステークスも勝利されて素晴らしいご活躍です。
ありがとうございます。特にオーシャンステークスは初めて中山で走ったレースで勝て、本当に嬉しかったです。
オーナーが感じるトウシンマカオさんの強みや、魅力というのはどういったところですか?
調教師さんには、とにかくいつも元気ですごくいいですよと仰っていただいています。トウシンマカオの魅力は、スタートが良く、鋭い切れ味の末脚ですね。デビュー戦を見た時から、「あっ!この馬強いなー」と思いました。
そして今日は京王杯スプリングカップで人気になっています!
いやー、今日は多分来ないよ!そういう勘がする。200m距離が伸びるし、強い相手もいるし、久しぶりの東京だし、どうかなぁと思って。いいとこ、2〜4着くらいかなと思って、掲示板乗ればいいなと。人気出過ぎだよね!?
それだけファンの方の期待も高い証拠だと思います。そして、調整も順調のようですね!
ファンの方々の応援は本当に有難く思います。また、高柳調教師をはじめ廐舎の方々のおかげと感謝しております。
これからトウシンマカオさんとの夢や目標はいかがでしょうか?
まずは、秋にスプリンターズステークスに挑戦し、G1初勝利を目指し、結果次第では香港にも挑戦してみたいと思います。
6歳くらいまでは元気で現役を続けてもらい、引退したら種牡馬としても活躍してもらいたいです。トウシンマカオはテスコボーイやスペシャルウィークなど貴重かつ珍しい血筋が繋がっているので、子供たちにも繋げていって欲しいですね。
最後に中山馬主協会様へメッセージをお願い致します。
いつも中山馬主協会様には大変お世話になっております。
先日、中山馬主協会様に30勝の記念をいただいたんです。
勝てなくてもうやめようかなと思った時もありましたが、こうして続けてきて中山馬主協会様とのご縁に感謝申し上げます。
これからも中山馬主協会様のますますの飛躍とご発展を心よりお祈り申し上げます。
追記
京王杯スプリングカップ当日という大切な日、レース前の貴重なお時間にインタビューさせていただき、本当にありがとうございました。
20代の頃からの夢でいらした馬主さんになられ、生後僅か15日でのトウシンマカオさんとの出逢いまで、簡単ではない道のりの中でも素晴らしい出逢いが繋いだ初重賞制覇の夢…。
それを有言実行に移される佐藤様の「信念」がとても伝わって来て、私もハッとさせられる瞬間が沢山ございました。
毎日良いことばかりが起きる訳ではないけれど、「苦労を乗り越え、努力していれば夢は叶う!」インタビューを通してそう実感させられました。
出逢いは本当に大切ですね…!私も佐藤様のように信念を貫き通し、いつまでも夢を持ち続けていたいと思いました。
これからもトウシンマカオさんとの夢に向かって、まずは秋、中山競馬場でのスプリンターズステークス、無事に力を発揮してくれますように心から応援致しております。
どうもありがとうございました。
(インタビュー・文/田中歩)
※この記事は 2024年6月20日 に公開されました。
インタビューアー
田中歩(たなか あゆみ)
茨城県出身。客室乗務員を経てフリーアナウンサーに転身。
現在、グリーンチャンネル「海外競馬中継」など各メディアで活躍中。
父は皐月賞馬ロゴタイプなどを管理した美浦の田中剛調教師。