人で溢れ返ったロンシャンのパドックに世界最強馬決定戦に出る資格を与えられたスターホースたちが世界の一流騎手を背に入場してきます。
自国の参戦馬が目の前を通ると至る所で「我々の国の出走馬が一番強いんだ」と言わんばかりの大声援が鳴り響きます。
そんな大声援の中をいつもと変わらない表情で周回するスターホースたちの強心臓ぶりには驚きました。
パドックに併設された大型スクリーンには出走馬と騎乗するジョッキーの紹介映像が映し出され、日本代表として参戦した横山騎手・福永騎手・川田騎手がそれぞれ紹介されると日本馬による世界への挑戦がいよいよ始まるんだと興奮と緊張が高まっていきました。
ゴールドシップ・ジャスタウェイ・ハープスターの日本馬三騎、そして3人の騎手たちが堂々と本馬場へ入場する様子に期待せずにはいられませんでした。
観戦席では眼下に広がる雄大なロンシャンのコースに皆、釘づけになり、発送ゲートを勢いよく飛び出した20頭がターフを駆け抜ける姿に魅了されます。
日本馬三騎の位置取りに注目する人やラップタイムに注目する人、その後の展開を予想し、声をあげて応援する人など世界最強馬を決定する約2分半の戦いをそれぞれ楽しんでいました。
最後の直線を抜け出したのは、ティエリ・ジャルネ騎手が手綱を握る2013年の覇者トレヴ。風のようにゴール板を走り抜け、36年ぶりとなる史上7頭目の連覇達成の偉業を成し遂げました。
牝馬での達成は、1936・1937年のコリーダ以来、77年ぶりの大記録です。
表彰式では、優勝馬トレヴの関係者らが騎馬隊に先導され、大きな馬車で入場し、多くの観衆に声援と賛辞を贈られ、まさに世界最高峰の凱旋門賞に相応しい表彰式でした。
あの表彰台に立った時の気持ちは、一体どのようなものなのでしょうか。
2014年の凱旋門賞は、開催国フランスのトレヴの連覇で幕を閉じました。
これまで欧州馬以外の優勝はなく、日本馬ではエルコンドルパサー・ナカヤマフェスタ・オルフェーヴルの2着が最高着順。
海外挑戦の道を切り開いたスピードシンボリの挑戦から約50年の時を経て、日本馬による初制覇の夢は着実に近付いているように感じられます。
いつの日か日本馬が凱旋門賞を制し、日本人ホースマンが表彰台に上り、世界中から賛辞を浴びる。その様な姿が見られるのも遠い未来ではないのかもしれませんね。