海外だより

チャンピオンシップの在り方

ジャパンカップの海外からの予備登録馬が発表されました。「このまま種牡馬入りか、引退の花道に固い馬場で本来のスピードと切れ味が生きる東京行きの2択」と囁かれていた凱旋門賞馬エースインパクトの姿は見当たりませんが、この段階ではなかなかのメンバーが名前を連ねています。英愛ダービーをダブル制覇したディープインパクト産駒オーギュストロダンと世界最古のクラシック・セントレジャーの覇者に君臨したハーツクライ産駒コンティニュアスの二大スターが〝故郷に錦を飾る〟とあれば、これだけでも大変なビッグニュースです。これに加えてフランスから、凱旋門賞でエースインパクトを凌ぐかの豪脚で急襲したオネスト、〝騸馬の凱旋門賞〟の異名で人気があるG2ドラール賞を勝ち、来週末の英チャンピオンSの1番人気に急浮上したハットトリックの孫ホライズンドーレも未知の魅力が一杯です。アメリカからはカナダのリーディングジョッキーに君臨した木村和士騎手とコンビを組むゴールドフェニックスもエントリーされています。これだけの人馬が揃えば、東京競馬場のスタンドは爆発してしまいそうそうです。

しかし登録はあくまで登録、出馬に繋がるわけではありません。〝競馬の華〟最強の頂上を争うチャンピオンシップは、この時期になると北半球だけでも目白押し、10月第1日曜日の凱旋門賞を中心にニッチもサッチもいかない大渋滞に陥っています。凱旋門賞前には、2400m級のイギリス最強馬を決めるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS、ドイツ王決定戦バーデン大賞など伝統と格式に彩られた名レースがドッシリと構えています。2000mから距離を延ばして頂上に臨むチャレンジャーには、イギリスはインターナショナルS、アイルランドは愛チャンピオンSが欧州全域から有力馬を集めます。

凱旋門賞が終われば終わったで、お国柄それぞれに2000m級、2400mのチャンピオンシップがシーズンのフィナーレを飾ります。凱旋門賞の2週間後に英チャンピオンS、その2週後の土曜にはコックスプレート2040mがオーストラリアのムーニーバレー競馬場で、翌日の日曜には東京で天皇賞(秋)2000mがスタートを切ります。さらに翌週はアメリカに大陸を移して、ブリーダーズカップ(BC)各チャンピオンシップ、芝チャンピオンは2410mのBCターフをステージに熾烈な戦いが繰り広げられます。ジャパンカップは、そこから1月ほど余裕がありますが、逆にヨーロッパは完全なシーズンオフに突入してしまいます。仮に使う馬がいたても、東京の直後はヨーロッパ勢には馴染み深く高額賞金も魅力に移る香港国際競走シリーズが控えています。こうした環境下では、たとえジャパンカップに登録はしても、それが出走に結びつくには数多くのハードルを越えなければなりません。日程、コース、距離など賞金額も含めて諸条件が現状のままだとしたら、状況に大きな変がが生まれる余地はないように思います。ちょっと考えさせられる難問です。

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