海外だより

ウィンクス半妹がウィンクスギニーへ

ディープインパクトの故郷・ノーザンホースパークに「ディープインパクト・ゲート」が完成し、きょう9日から一般公開されるそうです。素晴らしい景観です。巨大なアーチの向こうに真っ青に晴れ上がった空が広がり、世界へと繋がっています。馬産地北海道にふさわしく「若駒よ大志を抱け!」の言葉が、まるでディープインパクトが語りかけるように響き渡って来ます。良いものを建造していただきました。先週末にはラストクロップわずか12頭の中の1頭であるオーギュストロダンが、神速の瞬発力でエプソム競馬場のゴールを先頭で突き抜け、世界の頂点に聳えるダービー・ステークスの栄誉を戴冠しました。まったくディープインパクトの偉大さには言葉もありません。

話は、輝かしいそのダービー翌日のことです。オーストラリアのメルボルン近くのジーロン競馬場、1頭の3歳牝馬が、ようやく迎えたデビュー戦を見事に勝ち上がりました。父ディープインパクト、母ベガスショーガールという血統の下にシティオブライツと命名された若駒は、半姉ウィンクスと世界中のホースマンが羨望の眼で振り返る歴史的名血馬です。オーストラリアのファンにとっては、憧れであり誇りでしょうね。ウィンクスは43戦37勝と俄かには信じられない偉大な蹄跡を残していますが、晩成の大器の風があり、とくに後半はG1・25勝を含む33連勝と想像を遥かに超える域に突き抜けています。無論、獲得賞金世界一です。高額賞金の海外遠征なしにオーストラリア国内だけで積み上げたのも自慢です。この姉を追うようにシティオブライツの次戦予定が発表されました。

ウィンクスは2歳シーズン末にデビューし3連勝を飾ったが、奥手なためか3歳時は伸び悩み、このシーズンは8戦2勝と平凡な成績で終盤を迎えます。クリス・ウォラー調教師は彼女をサンシャインコーストのG3サンシャインギニーに挑戦させ、1馬身4分の3抜け出してオープン馬の地歩を固めました。後から考えてみると、この小さな一歩が引退までノンストップ33連勝と無敗ハイウェイへのスタートになりました。この記念すべきレースは、シーズン開幕を告げるG1として彼女自身も何度か経験した「ウィンクスS」とともに「ウィンクスギニー」と改名され、シーズンを締め括り次季への飛躍を誓う重要な登竜門となっています。このウィンクスギニーに半妹シティオブライツが登場するというのですから、オーストラリアのファンにとっては必見の一番になりました。日本のディープ贔屓のファンはもちろん、世界中のホースマンの熱視線を一身に集める「G3ウィンクスギニー」は、3週間後の7月1日にスタートします。

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