海外だより

二都物語ウィークエンド篇

ヨーロッパのクラシックレースも今週末がクライマックス。日本時間の今夜、エプソム競馬場2400mでオークスがスタートし、明日土曜は同コースでダービー、日曜はフランス・シャンティイ競馬場の2100mにコースを移して仏ダービーを迎えます。オークスこそ日本関連馬の出走はありませんが、エプソムにはディープインパクトのオーギュストロダン、シャンティイではハーツクライのコンティニュアスと我が国を代表する両巨頭の産駒が注目を集めています。ともにアイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎の管理馬で、期待馬を英仏両国に使い分ける戦略です。楽しみが倍に膨らみます。

ディープインパクトは2010年に初年度産駒を競馬場に送り込んでから、これまでに13世代がファンを熱くさせて来ました。ご承知のように先週までにJRA通算2727勝を積み重ね、偉大なサンデーサイレンス不滅の大記録2749勝に、あと22勝とカウントダウンを開始しています。JRAでのG1勝利数はともに71勝で並んでいますが、海外G1制覇は出走数が多いこともあってディープインパクトが通算29勝で圧倒的にリードしています。さらに際立つのは生涯一度の挑戦機会しかないクラシックレースに滅法強いのもディープの血の光り輝く特質です。初年度産駒マルセリーナの桜花賞に始まって、ラストクロップ1歳下アスクビクターモアの菊花賞まで、ここまで12世代がクラシックの栄光を戴冠しています。オーギュストロダンがエプソムのゴールに先頭で飛び込んでくるようなら、「全世代クラシック制覇」と歴史に残る金字塔を打ち立てることになります。昨年2歳にして早々とG1フューチュリティトロフィーを圧勝し、一足先に「全世代G1制覇」を成し遂げた孝行息子!ここ一番に強いのは証明済みです。前走2000ギニーの大敗は、チャールズ国王の戴冠式と重なり調整が上手くいかなかったのが敗因、一発大逆転で復活を飾ってくれるはずです。

コンティニュアスは、前走が英ダービートライアル最高峰のG2ダンテSが3着同着でした。昨年9月サンクルーのG3トーマスブリオン賞以来8カ月半ぶりのレースでした。先着馬はいずれも一叩きされていたことを考えれば、相当な上積みが見込める内容でした。海外の強敵相手にも一歩としてヒケを取らない国際仕様のハーツクライの血が爆発するシーンも期待できそうです。ドーバー海峡を挟んで、栄光の二都物語を堪能させてもらえるかもしれないワクワクの週末、たっぷりお楽しみください。

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