海外だより

ケンタッキーダービー第3の矢

複数の日本馬が参戦表明して盛り上がっている今年のケンタッキーダービーですが、昨秋から7カ月にも及んだ長丁場の前哨戦シリーズも今週末が事実上のラストラウンド。いよいよ出走枠20頭が決定されます。日本からはUAEダービーを好タイムで楽勝したデルマソトガケがポイント上位で出走権は悠々当確、ブリーダーズカップなどで実績を積んだ矢作芳人厩舎のコンティノワールもプレップのOPカトレアSの勝利とUAEダービー3着の合わせ技で圏内に潜り込みました。そのUAEダービー2着でポイント的には圏内濃厚だったドゥラエレーデは、どうやら出走回避の方向のようです。それに代わってというワケじゃありませんが、大井所属のマンダリンヒーローが明日のサンタアニタダービーで2着以内ならの条件付きですが、ケンタッキーダービーに向けて日の丸ホース“第3の矢”を目指します。

2頭出しのティム・ヤクティーン厩舎を筆頭に、なかなか強敵揃いです。既にポイント安全圏を確保しているプラティカルムーヴは地力上位の安定株です。ナショナルトレジャーは運に恵まれませんが、2歳時にG1戦線で好勝負して来た素質の高さは、僚馬プラティカル以上かもしれません。ロウイクスペクテーションズは仕上がり早のクラシック血統でケンタッキーダービーの栄冠を射止めたナイキスト産駒で、このあたりシーズン到来で血が騒ぐ期待が持てそうです。ナイキストはマンダリンヒーローと同じアンクルモーの血筋です。堂々たる馬体の仕上がりぶり、場内が万余の観衆のマイ・オールド・ケンタッキーホームの大合唱に湧くチャーチルダウンズ競馬場の喧騒に少しも動じない精神的な強さを備えているはずです。この血統らしさという面では、マンダリンが一枚上かもしれません。“第3の矢”がサンタアニタの的の真ん中を射抜いてくれないでしょうか。

この土曜は、オーストラリアで行われるG1クイーンエリザベス2世Sの馬券がJRAから馬券サイマル(並行)発売されます。日本からはお馴染みの“世界の矢作”厩舎からユニコーンライオンが出走します。しかし迎え撃つ地元勢・遠征組もトップホースが居並びました。ゴドルフィンのアナモーはオーストラリア随一の実力馬で、今季22/23シーズンは8戦7勝とほぼ無敵状態で内G1は6勝、通算で9勝と大台到達に王手をかけています。この後はイギリス遠征プランが準備されており、5月のロッキンジSからロイヤルアスコット開幕戦のクイーンアンSか2日目のプリンスオブウェールズSに挑戦するようです。昨年は老雄ネイチャーストリップがG1キングズスタンドSを制し、上がり馬アルトゥリアスがプラチナジュビリーSとジュライSの上級G1をともに3着してスプリント陣の層の厚さを誇示しています。今年は異なるカテゴリーでサザンクロス軍団の威風を吹かせることでしょう。そういう意味では明日の一戦はアナモーの壮行レースの趣ですが、チャレンジャー・ユニコーンライオンが一泡吹かせられるでしょうか?

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