海外だより

日の丸サラブレッド無双

これも“WBC効果”なのでしょうか?
日の丸サラブレッドが、世界最高賞金2000万ドル≒26億円余のサウジカップをダート経験2度目のパンサラッサが逃げ切って世界中のホースマンを驚かせたと思ったら、次はドバイでダートと芝それぞれの最高峰レースと畏敬されるドバイワールドカップとドバイシーマクラシックの双方を圧勝し世界の強豪から恐れられるまでになっています。イギリスの代表的な競馬メディア「レーシングポスト」はシーマクラシックを想像すらできなかった戦法で圧勝したイクイノックスに対して「日本には世界最高の馬がいる。そしてその馬は正真正銘の怪物だ」と賛辞を捧げています。

その“怪物”の前に2着に敗れたウェストオーヴァーは、英ダービーの直線で致命的な不利がありながら“化け物級”の切れ味で3着まで追い込み、その素質を証明するように愛ダービーを7馬身ちぎって見せたフランケルの大物産駒ですが、その馬主でフランケルのオーナーブリーダーでもあったジュドモントファーム陣営は「私たちは彼(イクイノックス)が行くところには近づかないようにしようと思う」と白旗を掲げるコメントを発しています。昨年、楽勝続きの8戦8勝で“フランケルの再来”とヨーロッパを無双したバーイードの主戦を務めたジム・クロウリー騎手は、シーマクラシックでは有力馬の一角だったモスタダフに騎乗して4着でしたが、イクイノックスはバーイードに匹敵する「異次元の馬」と手放しで敬意を表しています。

ワールドカップのウシュバテソーロも一種“異様な”勝ちっぷりでした。先行馬絶対有利のメイダンのダート馬場で、最後方から直線一気の末脚で突き抜けた馬など記憶にありません。5年ほど前、スタート直後の不利で最後方まで下がったアロゲートが、道中必死のリカバリーで盛り返し差し切ったことがありますが、ウシュバテソーロほど極端な追い込みではありませんでした。どちらが強いとか凄いとかの話ではありませんが、どちらも“怪物級”でした。滅多にみられないモノを見せてもらった、そんな嬉しくも有り難い気持ちになります。さらに驚いたことには、UAEダービーで上位独占した日本勢から勝ったデルマソトガケと3着のコンティノアールのケンタッキーダービー出走が決定し、2着だったドゥラエレーデもポイントで出走圏内におり、地方から今週のG1サンタアニタダービーに挑戦するマンダリンヒーローも2着以内なら望みは十分でしょうから、日の丸サラブレッド四天王が揃い踏み!見るも壮観なことになるかもしれません。楽しみな春本番はこれからです。

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