ゲスト 青山洋一オーナー
01. G1オーナーに乾杯!!
中山馬主協会の副会長にして、G1・NHKマイルカップを制したシャンパンカラーのオーナー、青山洋一氏。「聞きたいことがありすぎて、何から聞こうか悩んじゃますよね」という余裕の表情でスタートした『キャプテン渡辺のG1オーナーに乾杯!!』。いったい、何が飛び出すのか!? お楽しみください。
勝ったときこそ、馬主は表に出るべきだと思う
――青山副会長、おめでとうございます! まずは、NHKマイルカップを制したシャンパンカラーに、シャンパンで乾杯です!!
青山この1ヶ月半、毎日のようにみんなが、シャンパンでお祝いしてくれるから、もう一生分のシャンパンを飲み干した気がするんだけど(苦笑)。でも、嬉しいです。有難う!
――『キャプテン渡辺のWINNER’S CIRCLE』がスタートしたのが、青山さんが広報委員長をされているときで。それから、もう、ず〜〜〜〜〜〜〜〜っと、オファーし続けているんですけど、その都度、G1を勝ったら……と、断られ続け、ようやく、その時がやって来ました。
青山悪かったね。でも、それが僕のポリシーだから。
――G1 2着じゃダメだと?
青山G1に出るのが、どれだけ大変なことなのかはわかっているんだよ。でも、やっぱり違うんだよね、出るのと勝つのとでは。こういう場に出るからには、勝って出たいというのが本音で。馬が勝って賞賛されるんだったら、馬主さんは、どんどん、そういう場に出るべきだと思うし、僕は出たいと思っています。
――いま、出ないで、いつ出るんだと?
青山そう。これはあくまで僕の持論なんだけど、有名な会社になればなるほど、社長の名前も知っているじゃないですか。社長と会社の名前が両方有名で、初めて一流の会社と呼ばれるんだろうなと思うんです。
でも競馬の場合、冠名があれば別ですけど、馬の名前は知っているけど、馬主は知らないという人がいっぱいいて。それってどうなんだろうと思うわけですよ。
――僕自身も、オーナーさんの話をもっと聞きたいし、これを読んでくださる方も同じだと思います。
青山だよね、だよね、だよね。
こういう場に出てきて、キャプテンと話すことによって、人となりもわかってもらえるし、馬への思いもわかってもらえるわけじゃない?
メインは馬なんだけど、そこには、調教師も、ジョッキーもいて、馬主もいる。そうやって、輪を広げていかないと、競馬は盛り上がらないと思うんだよね。
シャンパンカラーの単勝を100万?
――あらためて、NHKマイルカップのことをお伺いしたいんですが…勝つ気満々というか、勝つ自信はあったんですか?
青山大きな声じゃ言えないんだけど、前日までシンガポールに行っていて。カジノでしこたまやられていたんだけど(苦笑)。周りには、「大丈夫。NHKマイルカップで勝つから」と言い続けていたんですよ。
――自己暗示をかけていた?
青山う〜〜〜〜ん、どうなんだろう!? 本気で勝つと思っていたし、勝てると思ってもいたし、当日も、「今日は勝つ」と思いながら競馬場に行って、レースを見ていましたからね。
――マジですか!?
青山マジです(笑)。
――とは言え、当日の人気は9番人気。なかなか買いづらい馬券だったような……。
青山ん!? レース後、『僕もシャンパンカラーを軸に馬券を買えるような人間になりたいです』と言うメールをくれた当人が、そういうことを言う?
――はははははっ。よく覚えていますねぇ。
青山もらったメールは、全部、覚えていますよ。ほとんどが、“おめでとう”という中で、キャプテンのメールと、あと2つ…単勝100万円を買ったというのと、単複50万円ずつ買ったというメールは、強烈に覚えています。
――単勝100万に、単複50万ずつ? 嘘でしょう!? いくら儲かったんです?
青山世の中にはすごい人がいるなぁと思いますよね。僕の馬がG1に出走するからとはいえ、僕よりすごい買い方をしている人がいるという事実に驚きましたね。
――青山さんでもそこまでは買えなかった?
青山買えない、買えない。自信はありましたよ。でも…買えなかった。買っておけばよかったと後悔はしてますけどね(苦笑)。
――やった! 勝った!! と思ったのは、最後の直線ですか?
青山いや、その前、残り400mのハロン棒のところです。
D.レーンが乗った1番人気のカルロヴェローチェと、武豊が乗った3番人気のオオバンブルマイが両隣にいて、坂の下で2人が鞭を入れたのに対して、ウッチー(内田博幸)は、持ったままだったんですよね。
――それだけの余裕があった?
青山普通なら、一緒に行きたくなるじゃないですか。1番人気と3番人気、D.レーンと武豊が追っているんだから。でも、ウッチーは、持ったままで。どっしり構えて追わなかった部分は、さすが、中央と地方あわせて何千勝としている騎手だな、と。あそこで一緒に追っていたら、多分、最後の最後…ゴール直前で、タケシ(横山武史)のウンブライルに差されていたと思います。
――僕がびっくりしたのは、勝った後の青山さんの嬉しそうな顔です。青山さんほどの人でも、あんなに無邪気に喜ぶんだと思いましたから(笑)。
青山ははははは。小学生レベルの笑顔ですよね。でも、それくらい嬉しかったというか、もう、メチャメチャ嬉しかったです。
涙と笑顔の裏側で
――初めてのG1…2016年の桜花賞を制したジュエラーのときは大号泣でしたが、今回は笑顔、笑顔、また、笑顔でした。
青山ジュエラーのときは…G1を勝つことが悲願だったから……。勝ちたくて、勝ちたくてしょうがなくて……。最後、写真判定になったんだけど、その結果が出る前から、もう、足がガクガク震えてひとりで立っていられなくて……。あんなになったのは、これまでの人生で、初めての経験だったね。
――念のためにお聞きしますが、酔っていたわけじゃ…ないですよね(笑)
青山飲んではいたよ。飲んではいたけど、酔ってはいなかった…と思う(笑)。
――表彰台の上でも泣きっぱなしでした。
青山写真判定の結果が出て、ガッツポーズをした瞬間、なぜか、もう、涙が止まらなくなっていて。涙腺崩壊だったよね(苦笑)。
――でも、今回は――。
青山表彰式で、JRAの後藤理事長に、「今日は泣かないでくださいね」と言われたからってわけでもないんだけど(苦笑)。ずっと笑顔でしたね。
ただ、ジュエラーの桜花賞と、シャンパンカラーのNHKマイルカップ…涙と笑顔の違いはあるんだけど、どっちが上というのはなくて。どっちも同じくらい嬉しかったですね。
――これも念のためにお聞きしますが。本当に泣かなかったんですか? 夜中、一人で、泣いたりしたとかは?
青山おっ、さすがキャプテン! もしかして、見てた?
――ということは、やっぱり(笑)。
青山これまで、一度も、レースを録画したことはないんだけど、なぜか、あの日は、NHKとフジテレビ、両方を録画していて。夜中の3時くらいまで祝勝会をやった後、家に帰ってひとりでレースを見ていたら、なんだかわからないけど、涙が出ましたね。
――そりゃ、見ちゃいますよね。当然です。僕だって、馬券が当たったレースは何回も見ちゃいますから(笑)。
青山あのときは、何回かじゃなくて、何十回も…だったけどね(笑)。
ひとつのレースを繰り返し、何十回も見たという経験も、今回が初めてだったね。
――それだけ嬉しかったということですよね。
青山嬉しかったねぇ。ただ、ただ、嬉しかった。もう、その言葉しかない。
とにかく、嬉しかったよ。
(構成:工藤 晋)
青山洋一 あおやま・よういち
1964年生まれ 島根県出身
2016年に愛馬ジュエラーが桜花賞を優勝。2023年、シャンパンカラーでNHKマイルカップを制する。
中山馬主協会 副会長。ホームページを担当する広報委員長時代に、『キャプテン渡辺のWINNER’S CIRCLE』を創設。
キャプテン渡辺
1975年10月生まれ
お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。YouTubeで競馬予想更新中。