ゲスト トム・マーカンド騎手 ✕ ホーリー・ドイル騎手

01. 勝てるだけ、勝ちたい!

勝てるだけ、勝ちたい!
新しくスタートを切ることになった『田中歩の聞いちゃおう。』
記念すべき1回目のゲストは――。
ご夫婦で、ジャパンカップに参戦したイギリスのトム・マーカンド騎手とホリー・ドイル騎手。
昨年に続き、2度目の来日となったお2人に、ジャパンカップの感想、日本とイギリスの競馬、そして、もしも、イクイノックスが凱旋門賞に挑戦していたら? という質問をぶつけてみました。

日本の競馬は素晴らしい

田中昨年に続き、ご夫婦揃って、2度目の来日です。

トム・マーカンド(以下、マーカンド)ありがとうございます!

ホリー・ドイル(以下、ドイル)また、日本に来ることができてとても嬉しいです。

田中マーカンド騎手は、昨年、138鞍に乗って、1着16回、2着14回、3着15回。今年(12月5日現在)、67鞍に乗って、1着11回、2着5回、3着7回という成績を残されています。

マーカンド昨年は、慣れていないダート競馬に馴染むまでに時間がかかりましたが、今年は気持ちにも少し余裕があるので、昨年以上の成績を残せるように、もっと、もっと、頑張りたいと思っています。

田中ドイル騎手は107回騎乗して、1着2回、2着9回、3着7回というのが昨年の成績でしたが、今年は(12月5日現在)、早くも倍の4勝を挙げています。

ドイル4勝目となった11月18日は、私が福島で、トムが東京で勝利を飾り、最高の1日になりました(笑)。

田中しかも、です! 今年は、お二人揃って、ジャパンカップへの参戦が実現しました。

マーカンドヨーロッパ競馬のオフシーズンに開催されるジャパンカップ、有馬記念は、格式の高いレースとして注目されているレースで、僕は昨年、デアリングタクト(4着)で出させていただきましたが……。

ドイル私は、ケガをしたライアン(R.ムーア騎手)の替わりに騎乗依頼をいただいた今回が、初めてです。ライアンの状態がすごく気になりましたが、ジャパンカップで乗るチャンスをいただけたことはすごく光栄でした。

田中レースはいかがでしたか?

ドイルヴェラアズールのレースは、昨年、このレースを勝ったものも含め、すべてチックして。結果は7着でしたが、今年、あまりいい成績を残していない中で、あの走りしてくれたヴェラアズールと関係者の皆さんには、感謝しかありません。

田中マーカンド騎手が騎乗したスタッドリー(8着)にも、勝ちましたしね。

ドイルそうです。そこは、大事なポイントです(笑)。

田中ドイル騎手が、「この観衆を見てよ!!」というコメントともに、当日のスタンドの様子をX(旧Twitter)で紹介した映像が、海外でも大きな話題になりました。

ドイル一般の方が公開していた映像を引用するカタチでアップしましたが、コースから見上げるスタンドは、もう、すごい! としか言いようがなくて。

マーカンド空気が揺れるほどの大きな拍手と、勝者を称える大歓声は、イギリスの競馬にはない、日本オリジナルのスタイルですからね。イギリスの競馬ファンにも見せてあげたいし、できれば、日本に来て、あの興奮と感動を自分自身で味わってもらいたいと思います。

凱旋門賞が変わる!?

田中イクイノックスにとっては、あのジャパンカップがラストレースとなってしまいましたが……同じレースに出た騎手としての感想を教えてください。

マーカンドレース前から、イクイノックスと、三冠牝馬リバティアイランドの対決は、世界の競馬史に残る戦いになると思っていましたから、そのレース出られるというだけで気持ちは昂っていました。

ドイルとにかく、もう、ファンタスティック! この言葉がピッタリだし、この言葉でしか表現できません。

田中お2人とも、イクイノックスの強さが十二分にわかっていらっしゃると思うので、あえて、お伺いしますが、もしも、です。もしも、イクイノックスが海外の競馬に参戦していたら?

マーカンドウィン!

ドイルオフコース!

田中それが、凱旋門賞だったとしても、ですか?

マーカンド凱旋門賞は、毎年、雨の影響で、重馬場になりがちですが、良馬場で行われた今年は、日本馬のスルーセブンシーズが4着と健闘しました。

ドイルそれから考えると、もしも、イクイノックスが出走していたら、すごいことになったんじゃないかなとは思います。

マーカンド競馬なので、どういう結果が待っているのかは誰にもわかりませんが、そういうイメージは湧きますよね。気候変動の影響で、フランスも雨が少なくなっていて、晴れる日も多くなり、良馬場でレースが行われることも多くなってきているので、日本馬にもチャンスがあると思います。

田中日本馬の印象はいかがでしょう。

マーカンドイクイノックスが抜けていますが、全体的に日本馬のレベルは高いと思います。馬の使い方も、日本は、一戦ごとに、きっちりと仕上げてレースに臨みますが、イギリスでは、レースを使いながら仕上げていくという傾向が強いですから。

ドイル特に、新馬戦はそうですね。イギリスの新馬戦は、仕上がりにばらつきがありますが、日本の新馬戦はきちんと仕上がっています。

田中海外では馬体重の発表もないんですよね。

マーカンドルールとして絶対ではないので、馬体重を測る厩舎もあれば、測らない厩舎もあります。

ドイルただ、馬体重をきちんと測って、それをファンの皆さんに公表することで、透明性、公平性が確保され、それが馬券の売り上げに繋がっていると思うので、日本のそういうシステムは素晴らしいと思います。

田中12月29日まで、残りあとわずかになりましたが、今の目標を教えてください。

マーカンド勝てるだけ勝ちたい!

ドイル性格も、馬へのアプローチの仕方も、それぞれ違いますが、その気持ちは、トムと同じです(笑)。

マーカンド僕は、もうひとつ。ビッグレース、GⅠに勝ちたいというのもあります。チャンスをいただいているので、結果で応えたいです。

(構成:工藤 晋)

トム・マーカンド
1998年3月30日、イギリス生まれ。166cm 54kg。初騎乗は2014年。

ホリー・ドイル
1996年10月11日、イギリス生まれ 27歳。152cm 49kg。初騎乗は2013年。

田中歩 たなか・あゆみ
茨城県出身。客室乗務員を経て、フリーアナウンサーに転身。
現在、グリーンチャンネル『海外競馬中継』など各メディアで活躍中。
父は、皐月賞馬ロゴタイプなどを管理している美浦の田中剛調教師。

※この記事は 2023年12月13日 に公開されました。

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