ホースマン・サロン ホースマンが語る競馬への想い

【第11回】チームシンボリの夢

ゲスト シンボリ牧場・和田容子さん 【第11回】チームシンボリの夢

《アメリカ競馬はドッグレースだって嫌っていましたね》 小回りのコースでスピード勝負一本槍になりがちなレース形態を 共弘さん独特の毒舌混じりに表現したのでしょうか。 そしてチームシンボリは大目標であるヨーロッパ上陸を遂に果たす日がやってきます。

『海外はいいですね。なかでもシャンティやロンシャン、フランスの競馬場は最高です。競馬場もそうですけれど調教場がまた素晴らしいんですね。

それとイギリスではアスコットでしょうか。ここもスピードシンボリに連れて行ってもらったんですよ。キングジョージにチャレンジしたときでした。こういうところで勝ちたいなぁと思いましたね』


前回ご紹介したスピードシンボリのワシントンDC挑戦から1年、チームシンボリは再び海外をめざします。今度は現地にじっくり腰を据えてのチャレンジでした。

もう、それは旅ではありません。現地に溶け込んで暮らすのと同じような感覚だったようです。

『海外へ行っても観光なんかしたことがないんですよ。いつも競馬場と牧場、あとはカジノに行くだけ。和田はルーレットとブラックジャックがお気に入りでした』

広大なシャンティの調教場で毎日スピードシンボリと向き合い、ヨーロッパ仕様の走法をマスターさせるべくトレーニングを重ね、合間には寸暇をぬって牧場通いの毎日でした。
唯一の息抜きがガジノ、さすが勝負事には目がありません。

こうした経験がのちにシリウスシンボリとともに2年間にも及ぶ“長征”への布石となったのは間違いないでしょう。スピードシンボリの遠征から16年、1985年のことでした。

※この記事は2011年5月21日に公開されました。


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