若いホースマンには、諦めずにトライ・アンド・エラーでやっていってほしいですね。

自分の考える理想の競馬像との齟齬
藤原先生は常に問題意識を持って、競馬に臨んでいらっしゃるんですね。
国枝自分の考える理想の競馬像と齟齬があるのでね。そりゃ、自分だけのことを考えれば、みなさんに「重賞を70勝してスゴイですね」とか、「2度も牝馬三冠達成していますもんね」とか言われれば、ありがたいし、嬉しいですよ。でもね~、「もっと馬中心であってほしいよね」って、そういう話を藤さんと、よくしていました。
藤原あの…藤沢和雄(元)調教師のことを、「藤(フジ)さん」って呼んでいらっしゃるんですね。
国枝そうそう、日本一だから(笑)。
藤原あっ、富士山!
国枝藤さんは海外でずっと仕事をしてきて日本競馬に入ったから、ビックリすることも多かったんじゃないでしょうか。もちろん、興業的に考えたら海外は苦しい現状だし、いろいろな問題を抱えています。その意味でも日本の環境は、今いいわけでしょ。それに、日本人の几帳面さがいいこともあるんです。でも、目をつり上げて競馬に向かうより、馬のことを考えて、余裕を持って馬に取り組んだ方がいいんじゃないでしょうか。

転機となった出来事
藤原それには、人も馬も楽しくですね。
国枝自分が納得して楽しくできるなら、仕事へのモチベーションは上がりますよね。不機嫌に仕事をしていたら、自分も周囲の人も、つまらなくなりますよ。
藤原だから、国枝先生はいつも朗らかなんですね。
国枝いや~、周囲の空気を読み過ぎているだけかもしれませんよ(笑)。とはいえ、私だって多少の苦労はしてきたし、色々とあったんですよ(笑)。
藤原色々の中に、転機となった出来事はありますか?
国枝もちろんです。金子オーナーと出会ったことですね。
藤原国枝厩舎の重賞初勝利は、金子オーナーのブラックホークでの1998年ダービー卿チャレンジトロフィーでした。翌年のスプリンターズステークスも優勝し、初GI勝利もブラックホークでしたね。
国枝はい。そこから、うまく流れに乗れました。この世界はご縁ですよね。藤さんとの出会いだってそうです。

藤さんから学んだこと
藤原日本一の調教師とのご縁ですね。
国枝そうそう。ちょっと、普通じゃない人だから(笑)。先ほども話したように、海外の経験を生かして「こんなふうに、余裕を作るんだな」とか、たくさんのことを学ばせてもらいました。そして、常にチャレンジをする。色々な視点で馬を見て、色々なことを試していましたね。いいも悪いも固定していませんでした。
藤原いつでも挑戦の姿勢を崩さない方なんですね。
国枝馬というのは、感性の部分が大きいですからね。藤さんは、そこが優れているからこそ、トライし続けたんじゃないかと思います。
藤原目標となる方だったんですね。国枝先生も若い調教師さんたちの目標となっていますが?
国枝そうかな~、困ったな(笑)。

若いホースマンへメッセージ
藤原若いホースマンの方たちに、メッセージはありますか?
国枝競馬は本当に素晴らしいものです。私も憧れて競馬界に入りました。馬とともに歩んで、日々エンジョイしてもらいたいですね。
藤原最後に先生の座右の銘を教えてください。
国枝『万事塞翁が競馬』です。塞翁が馬って中国の言葉から拝借しています(笑)。
藤原不運に思われることが、後の幸福につながるかもしれないから、一喜一憂しないという事でしょうか?
国枝そうです。人生は何がどううまくいくか分からない。競馬の世界もそうです。いつかはチャンスは巡ってくるし、これが正解というものはない。だから、若いホースマンには、諦めずにトライ・アンド・エラーでやっていってほしいですね。

構成:スポーツ報知 志賀浩子
Photograher:山口比佐夫
広報担当:井手尾

藤原 菜々花ラジオNIKKEIのアナウンサー。担当番組:「中央競馬実況中継」「ななかもしか発見伝!」「こだわり羽生結弦セットリスト」等