多くの人に感動を届けて笑顔になってもらい競馬が好きになってもらえるように頑張ります。

印象に残っているレースは?
藤原これまでで、印象に残っているレースはなんでしょう?
三浦ラムジェットでの東京ダービー制覇ですね。人気を背負っての出走にプレッシャーはありましたが、返し馬で自分自身がスゴク落ち着けたし自信が持てました。あのレースはスタートから、1完歩、1完歩、すべてを鮮明に覚えています。
藤原それは、これまでにない感覚でしたか?
三浦そうですね。馬も自信があったんだと思いますよ。ラムジェットはエンジンのかかりに遅いところがあって乗り難しいタイプです。でも、この時はうまくコンタクトが取れました。
藤原そのレースを、VTRを見ながら一緒に振り返りませんか?
三浦いいですね。お願いします。
藤原では、24年東京ダービーのスタートです。好スタートを切りましたね。
三浦もともとスロースターターで後ろからの競馬になるんですが、この時はうまくゲートを出てくれましたね。馬の気持ちを尊重して進めたら、自然と3番手が取れました。いつもは、ハミが抜けたりするので、強い扶助が必要になって序盤で手が動いたりするんです。でも、この時は楽に追走できました。
藤原すんなり先行して、いい感じで最初のコーナーから向正面半ばに差し掛かりました。
三浦この辺りで「勝てるな」と感じました。手応えが悪くなっているように見えますが、僕は安心感がありましたね。
藤原そのまま、4コーナーに入ります。
三浦ここで、いったん置かれましたが、直線を向いた時の手応えは「もう、勝ったな」という感じです。見ていた人は、「ヤバいんじゃ」と見えたでしょうけど、僕は「直線を向いたら、エンジンがかかる」と確信がありました。
藤原たしかに、直線半ばで先頭に立つと、グングン後続を引き離していきました。
三浦そう見えますよね。でもコレって加速している訳じゃないんです。長く大きく、キレイな飛びで走り続けることができるので、そう見えるんですよ。
藤原そうなんですね。

ダート改革元年にクラシック2冠
藤原最後まで脚色は衰えず、6馬身差でゴール。ダート改革元年にクラシック2冠目を制しました。
三浦最初から最後まで安心していましたね。焦る場面は1度もありませんでした。
藤原かなり、早い段階で勝利を確信なさっていたとのことですが?
三浦あんまり、そういうことってないんですけどね。この時は、どの馬が相手かとか、まったく気になりませんでした。ただただ、この馬の走りをさせてあげたいと思って乗ったら、あの形になって、終わってみたら勝っていました。
藤原直線を突き抜けましたが、あぁいう競馬は気持ちいいものですか?
三浦それは、気持ちいいですよ(笑)。
藤原24年はジャパンダートクラシックから東京大賞典と走り、年明けはサウジC、ドバイワールドC。9月にはコリアCに参戦しました。かなり、ご多忙ですよね。
三浦たしかに、遠征先の追い切りに乗って、週末の競馬のために日本に帰ってきて、また日曜日には遠征先に向かう。川田(将雅)さんや(武)ユタカさんを見ていて、いつも「カッコイイな」と思っていました。でも、自分がやってみるとキツいですね(笑)。韓国に行くからサムギョプサル食べてチャミスル飲んでとか思っていましたけど、体重調整もあるしね…。けっきょく、現地ではサウナを探していました。
藤原ストレスの解消も重要ですよね。フィジカルとメンタル、騎手の仕事にとってどちらが重要だと思いますか?
三浦メンタルの方が上ですね。例えばですが、18頭が出走したら、18人の騎手がいます。精神面が疲れて思考が鈍ったら、レース中に咄嗟の判断が必要になった時、他の17人に遅れを取ってしまうかもしれません。だから、前のレースのことは引きずらずに、次のレース向かうようにしています。前が詰まって勝てなかった馬のことは、次のレースで乗る馬には関係ない事情ですからね。
藤原引きずったら、次のレースに影響するかもしれないということですね。

騎手として大事にしていること
藤原ほかにも、皇成騎手が騎手として大事にしていることは何ですか?
三浦少しでも、その馬のいいところを引き出したいですね。それが、馬主さんや関係者のみなさんが僕を選んでくれたことに、できる最低限のことだと思っています。あとは、ゲートからの最初の一歩目の動きです。馬は止まっている状態から、助走なしでスタートします。この時点でしっかり動けるようにしておくことを意識しています。返し馬は、その準備です。特にトモの動きを作ることが重要だと考えています。馬はトモからの蹴りで推進し始めますからね。
藤原そうなんですね。皇成騎手にとって、騎手はやりがいのある仕事ですか?
三浦はい。馬と一緒にできる仕事って、ほかにないですからね。それに、あれほど多くの人を一度に感動させる仕事もほかにありません。勝った時、ファンのみなさんが喜んでいる景色を見られるのも騎手だけです。子供の頃から騎手を目指した僕にとって、それは本当に幸せだと思える時間です。
藤原たしかに、騎手だけに許された時間ですね。

これから騎手を目指す子供たちへ
藤原これから、皇成騎手のように騎手を目指す子供たちに、アドバイスはありますか?
三浦諦めないでほしいですね。僕だって、途中で諦めていたらG1を勝つことはできませんでした。もちろん「自分にはムリかも」と諦めかけたこともあります。それでも、努力を続けることで今回の勝利を得ました。努力は裏切らないとよく言いますけど、本当にそうだと実感しました。だから、自分を信じて諦めないでください。
藤原努力をすれば、自信にもつながりますしね。
三浦そうですね。あとは、競馬って一昔前はギャンブルのイメージが強かったですよね。でも、僕は「自分はアスリートだ」と思っています。これから騎手を目指す子供たちにも、その意識を持ってほしいですね。
藤原ありがとうございます。では、最後に座右の銘を教えてください。
三浦「日々進化」です。毎週毎週、競馬があるからこそ、チョットでもプラスアルファしていくという。騎手を続けていくと、技術面などで新たに知ることが出てきます。それが、この仕事の一番楽しいことなんです。どんどん、レベルアップしていかないと、置いて行かれちゃいますから。この仕事は日々の努力は当たり前で、自分で「ここで終わり」と制限しなければ、際限なくできる世界ですからね。
藤原本当にそうですね。ファンのみなさんにも、ひと言お願いできますか?
三浦はい。自分がG1を勝つまで18年かかりました。その間も、ズッと応援してくださったことに感謝しています。もっともっとファンのみなさんはもちろん、関係者の方たちにも喜んでいただけるように、多くの人に感動を届けて笑顔になってもらい競馬が好きになってもらえるように頑張ります。

構成:スポーツ報知 志賀浩子
Photograher:山口比佐夫
広報担当:井手尾

藤原 菜々花ラジオNIKKEIのアナウンサー。担当番組:「中央競馬実況中継」「ななかもしか発見伝!」「こだわり羽生結弦セットリスト」等