山本直也さん

高みを目指して!80歳や90歳になっても、一日でも長く、アナウンサーでいたい。

フリーアナウンサー山本直也さんをゲストにお迎えしてお届けする「藤原菜々花のWe♡horses」。山本さんの実況と言えば障害競走での名フレーズ。後編では、平地と障害競走の実況の違いや、アナウンサーを目指す人へのアドバイス、座右の銘などをお聞きしました。
(実況アナウンサー双眼鏡ポーズ!)

踏み切ってジャンプぅ~!

藤原直也さんの実況といえば、障害競走での「踏み切ってジャンプぅ~!」ですよね。

山本それって、私が作ったんじゃないんですよ。先輩が使っていたものを、私も使わせていただいたんですよ。(笑)。

藤原でも、今となっては直也さんの代名詞です。

山本いやいや。私の若い頃、先輩たちは普通に使っていましたよ。ただ、自分が使う時に、いろいろと試しては見ました。ジャンプ(↘)って言った方がいいのか、ジャンプ(↗)がいいのかとか。

藤原で、今の尻上がりでリズミカルな言い方になったんですね。直也さんが「踏み切ってジャンプぅ~」って言うと、場内が沸きます。

山本そうですか?あっ、前にも言ったけど、みんな実況で使って下さいね。なにも、私のってわけじゃないんですから。

藤原いえいえ、恐れ多くて。そういえば、オジュウチョウサンの実況は、ほとんどが直也さんが担当だったんですね。見ていて、その強さは、どこにあると感じましたか?

山本飛越は本当に低いですが転ばないんです。低く飛ぶからスピードが落ちませんし、レースセンスもあります。たすきコースのコース取りが巧みなんです。たすきに入ると、それまで内にいた馬は外になるでしょ?その時点で、スゥ~っと内に入っていく。3コーナーあたりから仕掛けていくのですが、そうなると無双状態でした。

藤原直也さんから見た、障害競走の魅力は?

山本障害はジョッキーがゼロから教えていく競走です。丸太をまたぐところから、どんどん高く飛べるように育てていきます。その間、ジョッキーは付きっきりなんです。だから、馬とジョッキーとの絆が強いんですよね。

藤原そうなると、勝った時の喜びもひとしおですよね。

平地と障害で実況の違い

藤原実況の面では、平地と障害で違いはありますか?

山本障害は長丁場だからペース配分が大事です。それで、失敗したことがあるんです。2000年の中山グランドジャンプは外国からの参戦もあって、そんなエポックメイキングなことに参加できるのか!と気合いが入りすぎて、最初からハイテンションで実況してしまいました。最後にゴーカイが先頭に立ったのですが「ゴーカイが、日本のゴーカイが先頭」って言った瞬間に声が出なくなってしまいました。

藤原最後の直線なので、ほんの数秒ですけど焦りますね。

山本焦りましたよ。その瞬間から、いろいろなことをグルグルと考えて、最後は声を絞り出しました。ペース配分が大事なのは、平地でも同じなんですけどね。直線に入ってグワ~~~っと盛り上がってしまうと、最後に息切れしてしまってゴールインの時に声がひっくり返ってしまいます。

藤原盛り上がり過ぎには注意ですね。年齢を重ねての苦労はありますか?例えば、反射神経の面とか。

山本あぁ~、反応はだんだんと遅くなっていきますね。

藤原それは、どうカバーなさっているんですか?

山本脚⾊を⾒て、その⾺がどう動くのかを、できるだけ早く捉えようとしています。ファンの⽅にまだ先頭に立っていないのに、とご指摘いただくこともありますが、レースは動いているので、それくらいでちょうど良いんですね。そうすれば、いち早く、後続の動きに目をやることができます。これができないと。実況がバタバタになりますし、脚色の判断は実況アナウンサーの生命線と言えるかもしれません。

藤原とても大切な事だと実感してます。キャリアを重ねることで、脚色の見極めは的確になっていくんでしょうか?

山本もちろん、経験を積むことで磨かれていくところもあると思いますが、常に意識してレースを観ることで、より早く身につけることができるのではと思います。脚色が分かると、実況に余裕ができますし、より分かりやすく伝えられのではないでしょうか。

藤原まさに私がいま悩んでいる状況です。脚⾊は実況の肝。この言葉を胸にこれから、もっともっと脚色くらべを磨いていきます。直也さんのお話を伺って改めて背筋が伸びる思いです。

山本たとえば新潟競馬場は脚色が見分けにくい競馬場でアナウンサー泣かせなんです。スタンドとコースが平行でかつ距離が近いんです。そうすると直線が真っ正面に近いアングルで、それを見ながらの実況になります。例えるならパトロールビデオに近いアングルで各馬の位置、状況を見抜いていかないといけないんです。

藤原角度がないので、直線は全頭仲良く並んでこっちにくるような…。

山本そうなんです。全馬が一斉にこちらに迫ってくる感覚です(笑)。

藤原キャリアを積まれた直也さんでも、脚色を見分けるのが1番難しいのは新潟競馬場なんですね!

山本馬の勢いをなんとか察知してやってますけど、難しいコースですね。

藤原実況者あるあるですね。私も脚色を見抜けるように頑張ります!

若手アナウンサーにアドバイス

藤原ほかにも、私を含めた若手アナウンサーにアドバイスはありますか?

山本実況に関しては、私の若い頃より格段にレベルアップしていると思いますよ。ただ、あまり言葉の意味を意識しないで使っているように感じる時がありますね。

藤原正しい使い方をしていないということでしょうか?

山本例えば、雨模様という言葉がありますね。これは、今にも雨が降り出しそうな様子のことなんですが、雨が降っているのに、この言葉を使うアナウンサーをたまに見かけます。間違えやすい日本語は、文化庁のホームページでも確認できますし、もっと言葉に注意深くあってほしいと思います。

藤原はい、勉強します。これから、アナウンサーを目指す人にも通じるアドバイスですね。

山本そうですね。さらに、アナウンサーを目指すのなら、ボキャブラリーは多いに越したことはありません。ですから、学生のうちから、たくさん本を読んでおくと良いですね。知識と語彙力は大きな武器になると思います。

藤原直也さんの実況は、真似できないなと思っているんです。4コーナーカーブしてからの音圧と盛り上げ方。直線の迫力の出し方。なんか鳥肌立ってくるんですよね。聞いていて、「どの馬が勝つんだろう」って一緒にワクワクするというか。私も直也さんや、先輩たちのようになれるんでしょうか。

山本私も若手の頃は、先輩たちは軽々と実況をこなしているように見えて「自分にはできるだろうか」と思っていました。でも真面目に取り組んでいけば大丈夫です。

藤原ありがとうございます。今後の目標ってありますか?

山本できるだけ長く実況の仕事を続けたいです。

藤原生涯現役ですね。

山本はい(笑)。

藤原ホント、直也さんがいる日は、実況席が明るくなるんですよね。だから、いつまでも続けてほしいです。そうそう、直也さんと言えば、馬券上手ってイメージが。大きく当てた時は、お菓子の差し入れをいただいて、いつもありがとうございます。

山本いえいえ、でも最近は大きい当たりはないですね〜。

藤原そんなこと、ないですよ。

座右の銘は?

藤原どうやって、万馬券を獲っているんですか?3連単派なんですよね?

山本3連単ができた時から、そうですね。まず、人気のない馬から検討に入ります。どこかにイイところがないかな~と一生懸命に探す。「ここで大負けしているけど、メンバーのせいだったかも」とか、人気がないのに馬券に絡んだ実績がないかとか。で、今日の条件なら、そのいい時の走りができるかを考えるんです。

藤原そうして目をつけた馬を、2着固定とか3着固定にして買うんですよね。

山本そうですね。いろいろやりますけど、3着固定が一番多いですかね。

藤原人気薄の馬を軸にって、勝負師ですね~。

山本人気のない馬を軸にしないと、高配当は獲れませんからね。そこから、大きく網をかけるんです。でも、3着固定の馬券を買って、レースを見てるでしょ。直線で「よしよしよし」って思っていたら、2着にきたりするんですよ(笑)。

藤原実況席にいると、直也さんの「頑張り過ぎだよ~」って声が聞こえてくることがあります(笑)。それでは最後に座右の銘を教えてくださいますか?

山本「踏み切ってジャンプぅ!」です。高みを目指せ!という思いを込めています。80歳や90歳になっても、元気よく言えるように、一日でも長く、アナウンサーでいたいです。

藤原素敵です。私も「踏み切ってジャンプぅ!」の精神を胸に、これからも一歩ずつ挑戦を続けていきます。そして実況を通じて、もっと多くの人に競馬の魅力を届けていけるように頑張りたいです。

構成:スポーツ報知 志賀浩子
Photograher:山口比佐夫
広報担当:IDEO

藤原 菜々花ラジオNIKKEIのアナウンサー。担当番組:「中央競馬実況中継」「ななかもしか発見伝!」「こだわり羽生結弦セットリスト」等

※この記事は 2025年9月10日 に公開されました。

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