ほんと⾺乗りって正解がないですし、難しいですよね。

JRA通算100勝達成
藤原横山琉人騎手は、6月28日の福島6R2歳新馬戦をセイカミナミホリエで勝利し、JRA通算100勝を達成しました。おめでとうございます。
横山ありがとうございます。99勝の時点で足踏みしたくないと思っていました。翌週にセイカミナミホリエの新馬戦があって、調教の感じから勝ち負けできると感じたのでチャンスだなと。自厩舎の馬で勝てましたし、相沢(郁)先生もセレモニーに出てくれて、うれしかったです。でも、もっと早く100勝を達成した同期はいますしね。
藤原やはり、同期の存在は気になりますか?
横山そうですね。でも、デビューしたての頃のような焦りはありません。みんなが活躍していてうれしいですよ。
藤原でも、勝負の世界ですし悔しい~!とかなりませんか?2021年デビューですから、今年で騎手5年目ですよね?
横山最初は焦りもありましたけど、みんな置かれている環境が違えば、乗る馬も違います。そう考えると、比べてもなって。それなら、自分自身の前年の勝ち鞍を、翌年は上回るように勝利を積み重ねたほうがいいと考えるようになりました。
藤原では、ライバルは自分ですね。
横山はい。もちろん、同期に負けないように頑張ろうという気持ちはありますよ。同期の勝利は刺激になりますしね。でも、純粋に応援する気持ちのほうが強いです。「悔しい」って思う気持ちも大事ですけど、僕は自分のペースでやっていくほうが合っているんです。
藤原それって、騎乗面にもいい影響がありましたか?
横山気持ちに余裕が出たおかげで、落ち着いて乗れるようになったと思います。
藤原同期のみなさんとは、仲が良さそうですね。
横山そうですね。競馬学校では2年生の時の厩舎実習がありますが、それも楽しかったです。すでに活躍しているジョッキーさんの仕事が間近で見られるし、こういう調教でレースにつなげているんだと勉強になりました。それに、学校を離れて厳しい縛りもなくなりますし(笑)。

先輩、師匠から教えてもらったことは?
藤原実習は、現在所属している相沢郁厩舎でだったんですよね。
横山はい。先輩騎手として石川裕紀人騎手がいたので、いろいろと教えてもらいました。最初に石川先輩に言われたのは「安全に乗ること」でしたね。自分はもちろんですが、自分の不用意な動きで、人に怪我をさせることがあるからって。そのためには、「馬は真っ直ぐ走らせるんだ」って。それは、いまも意識しています。
藤原後輩騎手に、真っ先に基本を教えてくれたんですね。
横山はい。馬乗りのことを教えてくれて、一緒に木馬にも乗ってくれました。「かっこいいな~」って思いましたね。
藤原ご自身がデビューして、同業者となった石川さんとはいかがですか?
横山石川先輩、いまヤバイです。もともとすごく熱心にトレーニングする人なんですけど、いまやボディービルダー並にムキムキです。先輩…どこを目指しているんでしょうね(笑)。
藤原なんか、そのお話する感じから仲良しなのが分かります(笑)。
横山仲いいですよ。今度、Mrs. GREEN APPLEのライブも一緒に行くんです。一番身近な先輩ですね。
藤原師匠の相沢郁先生から教えてもらったことは?
横山礼儀と挨拶ですね。僕らは依頼していただかないとレースで騎乗できません。そのためにも、ちゃんと挨拶をして、周りの人とコミュニケーションをたくさん取って、みんなに好かれないといけないですから。でも、最初の頃は先生がご自身の同期だったり、仲の良い調教師さんに騎乗を依頼してくれていました。
藤原ありがたいですね。先生とは子供の頃からのお付き合いなんですよね?
横山実家が先生の家と近いんです。子供のころは、お正月にお年玉をもらっていました(笑)。それに、父が現役騎手だったときは、相沢厩舎の馬乗りを手伝っていたんです。

いずれは障害にも乗りたい
藤原2017年に引退したお父様の横山義行騎手は、中山グランドジャンプなど障害重賞を11勝したレジェンドですよね。
横山幼い頃は、ダービーでも宝塚記念でもなく、父の乗っている障害レースしか見ていませんでした。だから、ずっと障害競走がメインなのかと思っていたんです(笑)。父が重賞に乗る時は、競馬場に行っていました。
藤原お父様のレースで印象に残っているのは?
横山メルシーエイタイムの中山大障害です。カッコよかったですね~。それが、騎手を目指すきっかけにもなりました。
藤原そういえば、デビューの時、勝ちたいレースに中山大障害を上げていましたね。
横山はい。でも、今は障害に乗る騎手の条件が変わりましたから、焦らずいこうかなと。障害競走新規騎乗騎手として、障害の騎乗数が10回以下なら3kg減で乗れます。正直なところ、平場と障害の二刀流って、かなり難しいと思うんです。だから、今はまず平場のレースで頑張って結果を出そうと。でも、いずれは障害にも乗りたいですけどね。
藤原お父様は、心配していませんか?どのレースも命がけですが、障害はより怪我のリスクが高いですし。
横山そうですね。乗るなとは言われました。父は怪我が多かったですからね。冗談なのか、骨を20本折ったら辞めると言っていました。辞めた時は、まだ19本だったようですけど(笑)。でも、怪我がなかったら、僕がデビューした後も乗っていたのでは?と思います。

⾺乗りって正解がなくて難しい
藤原そのお父様の姿を見て、競馬の世界に入るのは怖くなかったですか?
横山子供の頃は、危ないという実感がなかったんですよね。乗馬を始めてから、自分も骨折で入院したこともありますが、それでも怖いとは思いませんでした。それは今もです。でも、これからも、落馬や怪我には気をつけて騎乗していきたいと思います。
藤原アドバイスをお父様からもらうことはありますか?
横山それが、ないんですよ。「次、あの馬に乗るの?」って聞いてきたりはしますけど、僕の騎乗に関しては何も言いません。父は競馬に正解はないという考えなので、平場のレースなら、平場に乗っている先輩に聞いて、色々な考え方を得た方が良いと考えているんだと思います。それに、僕は父から色々と「グァ~~~!」と言われると、それを意識しちゃうので。
藤原その性格を知っていて、見守りに徹しているのかもしれないですね。体調の管理はいかがですか?毎日、暑いですけど。
横山平日の調教よりレースの日の方が暑いですが、馬に乗れば、あまり暑さを感じません。というか、レースが終わってからの方がヤバいです。メチャクチャ体重が落ちちゃうんで。
藤原汗で?体重が落ちると大変ですか?
横山朝イチで計った重量で、最後まで乗らなくちゃいけませんからね。連続で騎乗すると、どんどん減るんです。その分は水分を取ったりします。それか、鉛を増やして調整するか。
藤原水を飲むことと、鉛で調整するのと、どちらが大変ですか?
横山人によって意見が違うと思います。僕は体重が軽いので、鉛で調整すると鞍がすごく重くなります。鞍を重くするほうが、騎手は身動きしやすいですよね。でも、鞍はレース前に装鞍所でつけますから、その重たい状態で馬はズ~っといなくちゃいけない。それなら、自分が重りを背負ったほうがイイという人もいます。どちらが正解かは、分からないです。
藤原なんか、ジョッキーさん同士でディベートしたら面白そうです!どうなるんでしょうね?
横山たしかに!面白いかもしれませんね。ほんと⾺乗りって正解がないですし、難しいですよね。

構成:スポーツ報知 志賀浩子
Photograher:山口比佐夫
広報担当:IDEO

藤原 菜々花ラジオNIKKEIのアナウンサー。担当番組:「中央競馬実況中継」「ななかもしか発見伝!」「こだわり羽生結弦セットリスト」等