お給料や賞金など「お金」に関するお話しから、厩務員を目指す心構えなどご紹介

さてさて、「貯金をしておけばよかった」という課程生さんの声もチラホラ…。
まず、競馬学校は学費がかかります。その内訳は、入学金3万9千円、授業料(訓練馬維持負担金)12万円、食事代約24万円(6か月分)、騎乗装具、制服など約10万円で計50万円ほど。ちなみに、授業料(訓練馬維持負担金)は卒業後に支払うこともできます。その他、入学後に使う日用品購入や、外出時の食事などのお金は、いわゆる“自腹”です。半年間の学校生活の間は収入がないので、これを貯金で賄わなければいけません。事前の蓄えが必要ということですね。

様々な努力の末に厩務員課程を卒業。勤務地は、もちろん茨城県美浦村にある美浦トレーニングセンター、または滋賀県栗東市の栗東トレーニングセンター。通称トレセンです。
東西のトレセンで募集方法は異なるようですが、厩舎から求人があれば、調教師と面接を実施し、合格すれば晴れて厩舎スタッフになることができます。厩舎スタッフになるまでは、トレセンでヘルパーとして働いたり、育成牧場などで仕事をしながら、技術向上に努めます。

晴れてトレセンで厩務員さんとして勤務しはじめた場合、「初任給は24万円~31万円程度(諸手当を含む)+進上金等あり」となります(※初任給は学歴・経歴・職種、諸手当は月の労働状況により変動します)。
JRAの場合、未勝利戦でも1着賞金は560万円。重賞ともなれば賞金自体がレースにより異なりますが、GIIIで約2,900~4,300万円、GIIで約3,800万~7,000万円。GIのジャパンCや有馬記念の賞金は5億円! その5%が厩務員さんに支払われます。名誉も得られ、苦労が報われる瞬間ですね(※獲得賞金をプールしてみんなで分配するなど、各厩舎によって 5%以下になる事があり、賞金の取り扱いが異なる場合があります)。
生徒さんたちの夢は、海外GI制覇! さらに、凱旋門賞 1着賞金285万7,000ユーロ(約4億5,400万円)、サウジカップ 1着賞金1,000万ドル(約15億4,000万円)(レートは2025年2月現在)など海外レースに出走する馬を育てたいと話してくれる生徒さんもいました。夢はワールドワイドに! ですね(いずれも、賞金額は24年のもの、また海外の主催者により賞金の分配比率は異なります)。

ここで、現役教官、職員さんからのアドバイス。
いきなり厩務員課程の受験をするのもいいですが、「仕事内容を知ってもらうために、中学生を対象にした“キッズチャレンジ”を美浦トレーニングセンターで開催しています。ここでは、厩舎作業などを体験してもらえます」とのことです。

その他にもトレセン乗馬苑広場の一般開放や、厩舎見学会もあります。また中山競馬場をはじめ東京、京都、阪神競馬場では将来、牧場やトレセンで働きたい人を対象に、『馬の世界で働きたい人のための初心者乗馬講座(ビギナーコース)』も開催されています。応募はJRA公式サイトに掲載されるので、マメにチェックしてくだいね。

現場を見て、お仕事の素晴らしいところ、大変なところもイメージして、その上で「やっぱり馬が好き!」という気持ちを再確認してから厩務員さんを目指すのも、ひとつの方法でしょう。将来的には「調教師になりたい」という生徒さんもいました。

さまざまな“夢”を抱いての競馬を支える人生。その第一歩となる厩務員さんはステキなお仕事ですね。詳しくは日本調教師会「JRA厩舎スタッフになるためには」をご参照ください。
厩務員課程候補生の皆様、教官をはじめ競馬学校関係者の皆様、取材にご協力いただきまして誠にありがとうございました。

構成:スポーツ報知 志賀浩子
Photograher:山口比佐夫
広報担当:IDEO

藤原 菜々花ラジオNIKKEIのアナウンサー。担当番組:「中央競馬実況中継」「ななかもしか発見伝!」「こだわり羽生結弦セットリスト」等
