きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらっしゃいませ。

ジャパンCのトレーディングレザーは可哀想なことをしました。アイルランドの人たちにとって祖国のダービー馬が異国の地に斃れるのは何ともやり切れない思いでしょう。我々もつい最近、オーストラリアの南十字星の下でアドマイヤラクティを失ったばかりです。少し遡ればドバイの地に客死したホクトベガの悲運に胸を刺されるような思いをしています。アイルランドのホースマンの皆さんに心からお悔やみ申し上げます。

サラブレッドは一頭一頭それぞれ違いますから一概に語れないのですが、キャンター程度の調整しかできなかったと伝えられるドイツ馬アイヴァンホーが好走と言って良い6着に健闘しているのに対し、早くからケヴィン・マニング騎手が帯同して熱っぽい追い切りを消化してきたトレーディングレザーがこんなことになるとは思ってもみませんでした。改めて生きものと向き合っていく難しさを心するばかりです。

気の毒でならないのですが、検疫の壁などもありますから亡くなってしまえば、遺体は無論のこと遺骨も帰郷することは叶いません。異国の土に還るだけです。魂は天翔ることができるんでしょうか。余り知られていないのですが、当協会では西川賢会長などの肝入りで、こうした悲運に斃れた馬たちの魂を鎮め成仏してもらうために浅草寺で供養の儀を催しているそうです。次の機会には、ぜひトレーディングレザー号の霊も弔っていただけると嬉しいのですが。

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