きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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欧州チャンピオンを決めるカルティエ賞が発表されました。例年のことながら少し腹立たしい行事でもあります。というのは、向こうの人はヨーロッパ=世界と考えており、ならジャパンC、有馬記念や香港国際競走も終わらない段階でサッサと決めてしまうのは如何なものかと。唯我独尊の極みと言われても仕方がないところがあります。06年の年度代表馬ウイジャボードを負かしたディープインパクト、99年の3歳王者モンジューを粉砕したスペシャルウィークの評価はどうなるのか。まぁ、他人様が独自に考案して勝手にやっていることに目くじらを立てるのもどうかと思いますが。

今年の傾向を一口にいうと『画龍点睛を欠く』みたいなことですかね。立派な龍を描いても肝心の眼を入れないと絵が活きてこないという故事です。3歳牝馬チャンピオンのタグルーダは英オークス、キングジョージに勝ちながら凱旋門賞3着と取りこぼしました。英愛のデュエル・ダービー馬オーストラリアはもうワンパンチが足りなくて表彰台に上がることさえ叶いませんでした。凱旋門賞連覇のトレヴも本番の一発だけではチャンピオンの資格に乏しいと判断されたようです。最優秀ステイヤーのリーディングライトなんかは、アスコットゴールドCの時点ではどこまで強くなるんだと思わせましたが、後半は尻すぼみ。ファンをガッカリさせました。

年度代表馬にはキングマンが選ばれました。今年6戦5勝、非常にトリッキーなレース展開となった英2000ギニーで2着と不覚を取りましたが、その後はG1を4連勝と文句のない内容です。ただシーズン総決算の頂上戦チャンピオンズシリーズまで走り切ったフランケルなんかと比べると、夏のジャックルマロワ賞で引退してしまったのは、やや『画龍点睛を欠く』感もありました。フランケルとは同一のオーナーブリーダー馬で、既にフランケル、ダンシリ、オアシスドリームまでラインナップ、新たにキングマンが加わるバンステッドマナースタッドは年明けから世界中の名牝が門前市を成し、壮観なことになるんでしょうね。明日は来年のクラシックを占う2歳戦線を中心にカルティエ賞の総括をしてみたいと思います。

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