きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今年もっとも話題に上ったホースマンと言えば、カタールのジョアン殿下ということになります。凱旋門賞直前にトレヴを10億円のトレードマネーで購入、彼女は歴史的な強さで世界の頂点を極めました。怪我で実現しませんでしたが、殿下は彼女のためにランフランコ・デットーリ騎手と専属契約を結んでいます。

走る馬を手に入れるには現役一流馬を買うのが一番、欧米のホースマンの間では常識になっているそうです。その馬と最良のコミュニケーションができる調教師に預け、レースでは最高の騎乗技術を持ったジョッキーに託すこの勝利の方程式を殿下は完璧にやり遂げました。トレヴ以外にも仏2000ギニー馬スタイルヴェンドーム、仏1000ギニー馬フロティラとスピード馬を陣営に加え、クラシックには縁がありませんでしたが、オリンピックグローリーがクイーンエリザベス2世Sを制し、トロナドはサセックスSで強豪ドーンアプローチを打倒、とどまるところを知らない快進撃を続けています。

さて、馬選びのセオリーが現役馬トレードにあるとしたら、次善の策は2歳馬のトレーニングセールでしょうか。しかしここまで良馬が残っているとは考えづらいので、市場の中心は1歳馬のイヤリングセールに落ち着きます。殿下はこのマーケットでもますます貪欲で先日のタタソールズ1歳セリではクールモアと競り合って、ガリレオの牝駒を8億円余りで落札しています。トレヴ同様に繁殖価値を含めた値付けなのでしょうが、それにしても見事な太っ腹ぶりには驚かされます。

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