きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今日は国民の祝日、昭和の日と名付けられて久しいのですが、昭和時代までは天皇誕生日と呼ばれていました。春の天皇賞も曜日にかかわらず4月29日に固定され、ホースマンの最高の栄誉をさらに誇らしく彩りました。

昭和天皇は1989-01-7日に崩御されているので、正式には1988年のレースが天皇誕生日に行われた最後の天皇賞ということになります。その記念すべきレースの勝ち馬はタマモクロス。3歳10月にようやく最下級条件を勝ち上がり、そこから鳴尾記念、京都金杯、阪神大賞典を含む5連勝で最高の栄誉であるG1天皇賞に駆け上ってきた上がり馬です。

後に“芦毛対決”で競馬人気を盛り上げたオグリキャップはまだ笠松から中央転入したばかりの3歳馬でここに姿を見せることはできませんでした。ライバル不在となればタマモクロスの独り舞台、あっさり6連勝を決めると続く宝塚記念も楽勝します。

そして秋の天皇賞、オグリキャップが待ち構えていました。中央入り後は重賞ばかりを6戦6勝と不敗を記録し、地方から通算すると14連勝中と底が見えない強さでした。しかしタマモクロスの強さも並大抵ではありません。逃げるレジェンドテイオーを大名マークして直線では追いすがるオグリを振り切る横綱相撲で春秋連覇、圧倒的なパフォーマンスを見せつけます。

ここから“芦毛対決”3連戦が始まりました。続くジャパンCは芦毛同士が牽制し合うような展開で早めに抜け出したペイザバトラーを捉えきれず2着、でも3着のオグリキャップにはしっかり先着しています。

タマモクロスにとって引退レースとなった有馬記念、岡部幸雄騎手を迎えたオグリキャップは早めの競馬、それをマークするように南井克己騎手のタマモクロスも四角ではオグリに並びかけ直線はマッチレースの様相、サッカーボーイが最速上がりで追い込みますが3着まで、遂にオグリが打倒タマモの宿願を果たします。

強い馬が強い競馬をしてくれた時代でした。あの頃から競馬人気はますます熱を帯び、90年のオグリラストランでピークに達することになります。今年の春の天皇賞がそんなキッカケになってほしいものです。

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