きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今週はクラシック三冠の最終関門・菊花賞がメインです。現在の菊花賞を語る上で欠くことのできない存在があります。ダンスインザダークです。ある意味、歴史を変えた馬といっていいかもしれません。

京都の芝3000mで行われる菊花賞は持久力と底力が問われる長距離レースというイメージが強くありました。96年の菊花賞に出走したダンスインザダークと武豊騎手は上がり33秒8という直線一気の鬼脚で差し切り勝ちを決めました。それまでの常識を覆すようなレースぶりでした。

以後、スタミナ重視の消耗戦の色合いの濃かった菊花賞は、強烈な瞬発力なしには勝てないレースへと変貌を遂げます。最近10年の勝ち馬はサンデーサイレンス直仔が3頭、ダンスインザダーク産駒が3頭と全体の6割を占めます。母の父にサンデーサイレンスを持つ馬も2頭が勝利を収めました。

それにしてもサンデーサイレンスという偉大な種牡馬は、菊花賞や天皇賞・春のような長距離レースでも、スプリントG1でも数え切れないほどの勝ち馬を輩出しました。そしてそれらのレースの質というものを微妙に変化させました。変化させることで自分たちの強みを生かしたともいえます。こんな種牡馬はめったにいません。それほど偉大な血、革命的な血統だったと改めて思います。

ただサンデー亡き後、今後もなお、この革命的威力を発揮しつづけられるのか、そこが日本の競馬の発展にとって鍵を握っています。菊花賞をきっかけに、今週はこの問題を考えてみます。どうぞよろしくお願いします。

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