きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

《東北関東大震災被災地支援競馬》を名目に掲げてJRAの競馬が再開されることになりました。その是非については、さまざまな意見がありそうです。再開されたからと言って立ち消えにするものでもないでしょう。時間を惜しまず議論を重ねていきたいと思っています。

さて、想定の範囲内なのかどうか、やはり凄まじい除外ラッシュになっています。新馬戦や未勝利戦、また下級クラスを中心に、阪神は開催3日間で469頭、小倉は2日間で118頭、合計587頭もの馬たちが除外されました。

この頭数は16頭立てを36レースやってお釣りがきます。中止になった中山3日分に相当します。先週の全面中止の影響も大きいのでしょうが、今回だけの話ではなく当分は避けられない現象になりそうです。

出走馬に匹敵しかねない除外馬の出現は、調教師さんにも大変な心身のストレスを強いることになります。でも考えようによっては、これまでJRAという整然とシステム化された道をある意味、半ば無自覚に近い状態で走っていたのから、道なき道を創意工夫しながら走らねばならなくなった、調教師としての見識や技量が真に問われる状況になった、そういうことなのかもしれません。

解決策というのは、実は見つかりそうにもありません。仮に中山競馬が再開されても福島はどうするんだ、と難問が次々に降りかかってきます。震災、原発事故の二重苦にあえぐお膝元でまさか競馬をやるわけにはいかないでしょう。

競馬というもの、そのあり方を、もう一度、考えてみるときかもしれません。

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