きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらいしゃいませ。

大波乱におわった02年菊花賞のお話をしています。

ダービー馬タニノギムレットが引退、ダービー2着のシンボリクリエスも天皇賞に回って主役不在、1番人気に押し出されたノーリーズンが発走直後に落馬して、ローエングリンが史上空前のハイペースを演出しました。結局、壮絶なマクリ合戦となりヒシミラクルがしのぎきりました。

展開の綾と誰もが思いました。しかしヒシミラクルは馬名どおりミラクルを起こしつづけます。翌春の天皇賞、菊同様の消耗戦を乗り切って勝ってしまいます。もういくらなんでもないだろうと思われた宝塚記念では、タップダンスシチー、ネオユニヴァース、シンボリクリエスといった超一流馬を尻目にG1・3勝目を飾ります。まさに“奇跡の馬”としかいいようのない激走ぶりでした。

競馬というのは、ときに説明のつかないドラマを巻き起こします。ミラクルホース・ヒシミラクルのG1・3勝をうまく説明できる人は、まぁ、ほとんどいないと思います。

でも、だから面白いというのはよく分かります。人間もサラブレッドの世界も説明不能なことが起きるから面白い、楽しい、そういうところがあると思います。ヒシミラクルという存在は、そのことを実証してくれた、その価値はとても大きなものだと考えています。

さて、今年の菊花賞、そんな馬が誕生してくれたら、それはそれで心躍ることになるだろうと期待しています。

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