きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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ワールドサラブレッドランキングの話題をお届けしています。ヨーロッパ勢を中心にランキング上位馬をご紹介しましたが、さて、日本馬はというとヴィクトワールピサが10位にランクイン。欧米がシーズンオフだった前回の7位から順位を落としましたが、これは仕方がありません。秋に大飛躍を期待しましょう。

以下、アーネストリーとトラセンドが19位で並んでいます。アーネストリーの評価が意外に高いとお思いでしょうが、宝塚記念2着のブエナビスタという物差しが効いているのでしょう。彼女は現役日本馬では世界でもっとも著名なサラブレッドですから。ダービー馬オルフェーヴルとトゥザグローリーが30位タイ、ここまでの5頭が世界ランキングに登場する日本馬です。

世界中でおそらく10万頭以上の現役サラブレッドが走っていて、そのベスト30にはいるというのは大変なことです。多いのか少ないのかと言えば、まぁこんなものかなという感じです。ブエナビスタ、エイシンフラッシュ、ルーラーシップ、ペルーサなど世界のハンデキャッパーから能力を高く評価されている馬が、今回の対象期間中に期待されるようなパフォーマンスを発揮できなかったのも5頭にとどまった原因の一つでしょう。

日本馬はちょっと置いておいて、今回のランキングでは、オーストラリアの大躍進とアメリカの凋落が目立ちました。アメリカ調教馬ではケンタッキーダービーのアニマルキングダム、プリークネスSのシャックルフォードの19位が最高です。トランセンドと同じ評価ということになります。そのアニマルキングダムも怪我で年内は休養とか。ここ数年、屋台骨を支えてきたゼニヤッタが引退し、唯一、ゼニヤッタに土をつけたブレイムもあっさり種牡馬入り、後継馬が登場しないままに火の消えたような状態になっています。

リーマンショック以来の馬産不況が背景にあるのでしょうが、同じような環境のヨーロッパでは例年なら3歳で引退してしまうキャンフォードクリフス、ワークフォースなどを筆頭に有力馬が現役を続行して競馬場を盛り上げています。オーストラリアの英雄・ソーユーシンクを大反発を買いながら、あえてヨーロッパ移籍させスターづくりに懸命です。BCターフ3連覇の大偉業を成し遂げた世紀の名牝ゴルディコヴァもオーナーの強い馬がいなくては競馬は面白くないという意向で6歳の今シーズンも元気な姿を見せてくれています。

今から思えばゼニヤッタVSレイチェルアレクサンドラの“世紀の対決”が実現しなかったのが凋落の兆しだったのでしょうか。強い馬同士がお互いにピークの時期に対決する、今季のヨーロッパで見られている光景が競馬の原点なのでしょう。ファンはみんなそれを望んでいるに決まっています。日本競馬もぜひそうありたいものです。

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