きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ようこそいらっしゃいませ。

お伝えしていますように、あす最終レース終了後に被災地支援のチャリティーオークションが開催されます。当協会員の皆さんのご協力で希少な逸品の数々が集まりました。杉本清さんと鈴木淑子さんの司会で楽しい会になりそうです。お時間が許しましたら、ぜひお立ち寄りください。

さて、海の向こうでディープインパクト産駒が頑張っています。3歳夏にしてようやくデビューにこぎつけたアクアマリンという牝馬が先日の未出走戦を白星で飾りました。オールアロング、サガス、パントレセレブルと3頭の凱旋門賞馬を出したフランスの大オーナーブリーダーであるウィルデンシュタイン家の所有馬ですね。鞍上はもちろん主戦のクリストフ・スミヨン騎手でした。

その母系はAの頭文字がつくウィルデンシュタイン自慢の血脈で、近親には仏オークス、ヴェルメイユ賞を勝ったアクアレリスト、その全弟でジャパンCにも来たアルティストロワイヤル、種牡馬として日本に輸入されたアルカングなどがいます。

この家伝の母系にディープインパクトの血を導入したわけですが、アクアマリンは母の父がアルザオですから、ディープから母ウインドインハーヘアー、その父アルザオと遡り、つまりアルザオ3×2の濃密なクロスを持つことになります。狙ってそうしたのでしょうから、逆に本気度が伝わります。

ウィルデンシュタイン家は画商を本業とする一族ですが、代々美術研究家としても高名で“ウィルデンシュタイン番号”なる競馬でいえばファミリーナンバーみたいなものを発明し、系統的に名画を分類・研究し美術界に貢献しています。

この学究肌が競馬の世界でも発揮されないわけはなく、あえて狙って実現したアルザオクロスなのだと思います。いつか母父ディープインパクトというサラブレッドがヨーロッパのターフを駆けることになります。これも競馬の大きな楽しみのひとつですね。

さて、ヨーロッパのディープインパクト産駒といえばバロッチ、この馬もウィルデンシュタイン家の所有馬です。仏2000ギニーに出走し惜しくも6着に敗れましたが、今度はもう少し距離を伸ばして戦うみたいです。そのうちG1レースで名前が見られるかもしれません。ぜひサンデーサイレンスの血を世界に広げてください。

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