きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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きょうは土用の丑の日。もう鰻の予約はお済みでしょうか。この日に鰻を食すようになったのは江戸時代のことらしいですね。“そもそも”の起源については諸説ありますが、平賀源内創始説がもっとも広く愛されているようです。

源内は江戸中期に活躍した破天荒な博物学者として知られます。その守備範囲はとてつなく広く、漢方に始まりオランダ医学、作家、発明家、画家とオールマイティな才能を発揮しています。鎖国をしていた当時の日本にあって海外の文化や技術を紹介し実践するのは大変なことでした。

杉田玄白は翻訳した『解体新書』の一章で《ああ非常の人、非常のことを好み、行いこれ非常、何ぞや非常に死する》と源内の死を悼んでいます。あなたは常識とは違う人で、常識とは違うものを好み、常識とは違うことをする、しかしそんなあなただからこそ、死ぬときくらいは畳の上で普通に死んでほしかった、という意味らしいのですが、源内が並外れた才能の持ち主であったことが伝わってきます。

現代でいうコピーライターみたいなことも手がけていたようで、土用の丑の日は‘う”の字つながりで鰻をという発想でした。マーケティングにかけても天才だったわけです。今年は土用の丑のが2回あります。天才をしのびながら舌鼓を打ちましょうか。

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